- 2010年上半期の展覧会チラシ蒐集状況
- 「相笠昌義展 日常生活」(損保ジャパン東郷青児美術館、現SOMPO美術館)
- 「『エレメント』構造デザイナー セシル・バルモンドの世界」(東京オペラシティアートギャラリー)
- 「MOTアニュアル2010:装飾」(東京都現代美術館)
- 「クリストとジャンヌ=クロード展 LIFE=WORKS=PROJECTS」(21_21 Design Sight)
- 「フランク・ブラングィン」(国立西洋美術館)
- 「美しき挑発 レンピッカ展 – 本能に生きた伝説の画家」(Bunkamuraザ・ミュージアム)
- 「爽やかな日本美術 ~風・流れ・涼の表現」(大倉集古館)
- 「猪熊弦一郎展 いのくまさん」(東京オペラシティアートギャラリー)
- 「ロトチェンコ+ステパーノワ -ロシア構成主義のまなざし」(東京都庭園美術館)
- 「オルセー美術館展2010『ポスト印象派』」(国立新美術館)
2010年上半期の展覧会チラシ蒐集状況
2010年上半期に集めた展覧会チラシは95枚です。以下は開催日付順で、番号は順位ではありません。
「相笠昌義展 日常生活」(損保ジャパン東郷青児美術館、現SOMPO美術館)
写真:相笠昌義《交差点にて、歩く人》
駅や動物園、街の通り、美術館、公園などの街の一角で繰り広げられる日常生活を描いた一連の作品で独自の世界を築き上げた相笠昌義の個展です。
展覧会チラシのメインビジュアルに選ばれた《交差点にて、歩く人》は2008年 損保ジャパン東郷青児美術館大賞を受賞しています。
シンプルなデザインですが、テキストの置き方などが作風とマッチしていて、作品の良さが引き立っているようです。
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「『エレメント』構造デザイナー セシル・バルモンドの世界」(東京オペラシティアートギャラリー)
写真:セシル・バルモンド「H_edge」
構造デザイナー、セシル・バルモンドの展覧会です。
下部の写真は「H_edge」。垂れ下がったチェーンに金属プレートがひっかかっているようにみえますが、実は個別には自立しておらず、支え合って自立しているという。
自然界のデザインに影響を受けて、広がりをもった幾何学の世界へと展開させていく彼の思想が、右上のスケッチから感じ取れます。
構造デザインの展覧会ってチラシがつくりにくいと思いますが、エッセンスが端的に示されていて面白いと思いました。
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「MOTアニュアル2010:装飾」(東京都現代美術館)
写真:青木克世《予知夢Ⅸ》
「装飾」をテーマに若手アーティストの作品を紹介する展覧会です。
メインビジュアルに選ばれた青木克世《予知夢Ⅸ》は、白磁でつくられており、自らの意思で増殖していくかのようなおどろおどろしさと、デコレーションケーキのようなかわいらしさ、清潔さをあわせもつ不思議な存在感の作品です。
展覧会チラシで見えているのはその一部ですが、このようにクロースアップにすることで気になって手に取ってしまいますね。
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「クリストとジャンヌ=クロード展 LIFE=WORKS=PROJECTS」(21_21 Design Sight)
写真:クリストとジャンヌ=クロード「『梱包』されたベルリンの国会議事堂」
建造物を「梱包」することで知られるクリストとジャンヌ=クロードの個展です。
展覧会チラシも、全面に薄い四角を敷くことで「梱包」のイメージにしているのでしょうか。背景には、1995年に「梱包」されたベルリンの国会議事堂が。「梱包」を「梱包」しているみたいで面白いですね。
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「フランク・ブラングィン」(国立西洋美術館)
写真:フランク・ブラングィン「りんご搾り」
国立西洋美術館の中核となった松方コレクションの形成に深く関わったフランク・ブラングィンの展覧会です。彼の作品は、多くが1939年の倉庫火災で焼失してしまったことが悔やまれます。
タイトルは、絵画だけでなく版画も手掛けたブラングィンへのオマージュになっているのでしょうか。
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「美しき挑発 レンピッカ展 – 本能に生きた伝説の画家」(Bunkamuraザ・ミュージアム)
写真:タマラ・ド・レンピッカ「緑の服の女」
アール・デコを代表する女性画家で、社交界の華だったタマラ・ド・レンピッカの展覧会です。
まずこの「緑の服の女」という作品そのものがチラシに向いていますね。複雑な加工をせず、シンプルに一作品を取り上げたのがよかったと思います。
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「爽やかな日本美術 ~風・流れ・涼の表現」(大倉集古館)
写真:宇田荻邨「淀の水車」
爽やか。こんな爽やかな絵はないですね。この宇田荻邨「淀の水車」は1926年の第7回帝展で帝国美術院賞を受賞した作品です。
展覧会タイトルの配置の仕方も面白いです。
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「猪熊弦一郎展 いのくまさん」(東京オペラシティアートギャラリー)
谷川俊太郎による文で始まる絵本、『いのくまさん』を中心に猪熊弦一郎の仕事を紹介する展覧会です。
クラフト感のある紙を使い、可愛らしいオリジナルフォントで独自の世界観を表現しています。チラシ表面に掲載する絵は猫にしぼったのは正解ですね。
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「ロトチェンコ+ステパーノワ -ロシア構成主義のまなざし」(東京都庭園美術館)
写真:アレクサンドル・ロトチェンコ「レンギス あらゆる知についての書籍」ほか
ロシア構成主義の代表者アレクサンドル・ロトチェンコとその妻ワルワーラ・ステパーノワを中心として紹介する展覧会です。
このあたりから、展覧会タイトルにアンダーラインをつけるあしらいがいくつか見られるようになってきたかと思います。
このチラシ下部にあるロトチェンコの代表作「レンギス あらゆる知についての書籍」に合わせてでしょうか、斜めに文字が入ったデザインが楽しいです。
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「オルセー美術館展2010『ポスト印象派』」(国立新美術館)
写真:アンリ・ルソー「蛇使いの女」
ルソーの独特の色使いに負けないように、あえてかなり強い黄と赤紫が使われています。オルセー美術館展はある程度の頻度で開催されるので、今回の展覧会の特徴を端的にテキストで示せているのはよいと思います。
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次回は、2010年下半期の展覧会チラシ 私的ベスト10をご紹介します。
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