第1章と第2章のあらすじを箇条書きでご紹介します。
箇条書きがパメラの記述(要約)、【コメント】が私のコメントです。
第1章:おれはキング・ビー
時代:1960年代~1965年
パメラ:中学生から16歳
●ロサンゼルスで育つ。
→【コメント】パメラが恵まれていたのは、大都市ロサンゼルスの、それもかなり中心部で生まれ育ったということです。長じると家を出てさまざまなミュージシャンと交流する彼女ですが、いつでも帰ることができる実家が近くにあるというのは、不安定なグルーピー生活を続けるうえで重要なことだったのではないかと思います。
●両親はケンタッキー州出身で母親は専業主婦、父親はセールスマンから“瓶詰工場”(アンハイザー・ブッシュ社)に転職して働きつつ、メキシコで金を掘り当てる野望を生涯捨てなかった。
→【コメント】お父さん、夢見がちな人だったんですね。その性格はしっかりとパメラに受け継がれているような。第3章では、お父さんのこの野望のせいで実家が引っ越しを余儀なくされる記述が出てきます。
●貧乳が悩みでパットを入れてごまかしていた。
→【コメント】パメラはグルーピーなのに意外と貧乳だったんですね。
のちの話ですが、1989年3月号の『プレイボーイ』でヌードを披露した際も、「若い頃はプレイボーイに出たいと思っていたけど、胸がついていかなかった」と語っているようです。
パメラの貧乳コンプレックスは相当なもので、第5章に出てくるグルーピー仲間のミシェル・マイヤーのことを「彼女は巨乳だが頭がよかった」と記述、第9章では映画の役を巨乳の子にとられたエピソードなどがあります。
●ノースブリッジ中学出身。デニスという不良の男の子が車の事故で死に、彼のガールフレンドが泣き崩れるのを目撃。彼のことは興味ないが彼のガールフレンドだったらよかったなと思う。
→【コメント】彼女の性格がよく現れているエピソード。「彼を不慮の事故で失ったかわいそうな女の子」の立場になってみたかったということですね。
●中学ではアイヴァ、リンダという女友達とともにレインボウ・ロッカーズという地元のバンドと仲良くなる。
→【コメント】中学生なのに早熟だなー。都会の子は違うね。
●ビートルズに夢中になり、女友達のアイヴァ、リンダ、スティーヴィー、キャシーとビートルズごっこをしたり、ビートルズのメンバーとの恋愛を妄想した交換日記をつけたりした。
→【コメント】どこの国のティーンエージャーも変わらんね。のちのち黒歴史になるやつですね。ちなみにパメラはポール・マッカートニー推しで、当時ポールの婚約者だったジェーン・アッシャーをドブス呼ばわりしてます。あんな美人をつかまえて、ねえ・・・(笑)。
●女友達キャシーのお父さんがハリウッド・ボウルの関係者と知り合いだった関係で、ビートルズのいいチケットが取れた。
→【コメント】ビートルズは1964年8月と1965年8月にロサンゼルスのハリウッド・ボウルで公演しています。地元ネットワークは強いね。
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●ロサンゼルスに来たビートルズのおっかけをし、その過程でロニー・ルイスという少年(コメディ・チームのマーティン&ルイスの片割れのジェリー・ルイスの子ども)と仲良くなり、ルイス家の裏庭から接近。メンバーとばったり会い、ジョン・レノンと目が合うがこの時はそれっきり。
→【コメント】すごい行動力だ。簡単に有名人の子どもと仲良くなっちゃいました。のちのち、ポール・マッカートニーを除いたビートルズのメンバーとは個別に会うエピソードがあります。
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●ミック・ジャガーが好きになり、ビートルズファンの友達からはブーイングを受ける。
→【コメント】当時は、ストーンズ好き、ビートルズ好きってはっきり派閥になってたんですかね。両方好きなパメラは非難されたと。
●ボブ・マーティンという不良の男の子と仲良くなるが、ボブは家庭の事情でニューヨークへ引っ越した。そのうちヴィクター・ヘイドンという男の子と仲良くなり、ボブへの気持ちは離れてしまう。
●ヴィクター・ヘイドンのいとこのキャプテン・ビーフハートと知り合い、ティーン・フェアに連れていかれる。初対面のキャプテン・ビーフハートは「どっかで会ったことない?」
→【コメント】女心と秋の空。距離が離れて心も離れてしまったようです。おっと、いきなりキャプテン・ビーフハートという大物が出てきました!よくあるセリフを吐くビーフハート。もしかしたらここは、映画『あの頃ペニー・レインと』でラッセルがペニーにいったセリフ「どこかで会った?」の元ネタなのかも。当時ビーフハートはストーンズファンだったそうです。
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●この当時はクスリもセックスもせず、“口を使う”だけのグルーピーだった。
→【コメント】最初はまじめだったんですね。この“口を使う”だけというスタンスは、映画「あの頃ペニー・レインと」のペニーのキャラクターに受け継がれているのかも。
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●学校の美術のクラスでは、ミック・ジャガーの睾丸をイメージした抽象画を描きAをとった。
→【コメント】どんな絵だよ。でもAとれたんだね、さばけてる高校です。
●1965年5月11日にハリウッドに来たストーンズに接触するも、この時は関係せず。ブライアン・ジョーンズが桃色遊戯しているのを目撃。ブライアン・ジョーンズはグルーピーたちに「ここから出ていかなかったら、おまえらみんな引きずり込んでファックしちまうぞ!!」と叫んだりしていた。全裸のミック・ジャガーを目撃するも「もう家に帰る時間だよ、かわいこちゃん」といなされる。
→【コメント】このあたり、記述あいまいですがパメラの言葉を信じるなら当時16歳のパメラはセクシャルなことはしなかったみたいです。
第2章:ハートに火をつけて
時代:1965年~1967年頃
パメラ:16歳から18歳
●バッファロー・スプリングフィールドの名曲「フォー・ホワット・イッツ・ワース」(For What It’s Worth (Stop, Hey What’s That Sound))にうたわれたサンセット・ストリップの暴動に居合わせた。しかしバッファロー・スプリングフィールドのメンバーはその場にいなかったようだ。
→【コメント】私が大好きな曲の登場!なぜか私は、メンバーが暴動に居合わせたのだと長年勘違いしていました。
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●ベン・フランクというサンセット・ストリップにある店に入り浸る。そこで、ロドニー・ビンゲンハイマーとキム・フォウリーと会う。キムには「君と47分セックスするより47年結婚した方がよい」と口説かれた。
→【コメント】ここから有名人が目白押しになってきます。
ロドニー・ビンゲンハイマーは地元のラジオDJで、デヴィッド・ボウイを初めてハリウッドに紹介したことで有名です。ネットニュースによると2016年に初来日しているのかな?ナイトクラブ経営もしていたようで、パメラとは長く縁が続き、第9章にも登場します。
キム・フォウリーはプロデューサーで、のちにザ・ランナウェイズの育ての親として知られるようになります。アリス・クーパーやジョナサン・リッチマンとも仕事をしました。この人もこのあとちょいちょい登場します。キムの口説き文句・・・これ上手いのか?
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●ザ・バーズのファンになり、特にベーシストのクリス・ヒルマンに夢中になる。当時バーズのメンバーはローレル・キャニオンに住んでおり、そこは「神様の光り輝く裏庭」だった。よくそのあたりをうろうろした。
●お父さんからもらったメキシコブドウをクリスにあげようとしたり、クリスの隣のおばあさんと仲良くなって子猫を譲ってもらってクリスにプレゼントしたりと必死にアプローチした。
→【コメント】パメラの想い人、クリス・ヒルマンの登場です!このあと何回クリス・ヒルマンの名前が出てくることか・・・。最重要人物の一人といえるでしょう。
ローレル・キャニオンとは、ロサンゼルスのハリウッド・ヒルズ近郊にある高台で、多くのミュージシャンが住み60~70年代には「音楽のメッカ」と呼ばれていました。
クリスの気をひこうと右往左往するパメラが可愛いですね。クリスをゲットするためにまずは隣のおばあさんと親しくなるという作戦はすごい。動物をダシに使うのはよくないが。
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●ウィスキー・ア・ゴーゴー、トリップなどに入り浸る。
→【コメント】ウィスキー・ア・ゴーゴーはサンセット・ストリップにいまもある有名なライブハウス。ウイスキー・ア・ゴーゴーは比較的まともなライブハウスで、トリップはとっぴな出しものが多いことで有名だったそうです。※
※「ロック・スターの女たち」(ヴィクトリア・バルフォア著、吉田真弓訳、音楽之友社)のゲイル・ザッパのインタビューより
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●ロドニー・ビンゲンハイマーからヴィトーという54歳のアーティストとその妻スー(Szouと綴る)を紹介される。夫婦には3歳になる男の子ゴドーがいた。
●ヴィトー夫妻は骨董屋のような店の真上にある面白い家に住んでおり、古着などを販売していた。ヴィトーは店の物置にいて、時折そこからにゅっと手を伸ばしてお客さんの女の子の足首をつかんで引っ張りこんだりする油断のならないオヤジだった。
●ヴィトー夫妻は他に彫刻教室やダンス教室を経営していた。
●ヴィトーはアレが大きかったらしい。
→【コメント】ボヘミアンな夫妻の登場です。ヴィトー・パウレカス(Vito Paulekas)は当時の有名人で、詳しくは英語版ウィキペディアをご覧ください。この夫妻から、このあとパメラの人間関係が広がっていきます。さりげなく下ネタが入ってますね。明言はされてませんがヴィトーとも関係があったのかもしれません。
●ヴィトーは当時忘れかけられていたレニー・ブルースを讃える会を開催し、そこでフランク・ザッパと知り合った。
→【コメント】最重要人物フランク・ザッパの登場です!この段階では紹介のみで、のちに親しくなります。レニー・ブルースとは1966年に亡くなったユダヤ系アメリカ人のスタンダップ・コメディアン。亡くなってたった数年で「レニー・ブルースは、遠い昔」※になっていたんですね。
※ECD「ECD」の「EYES of STEVIE WONDER」の歌詞
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●ラジオDJのトム・クレイからラジオで「テリー・サザーンが、レニー・ブルースを讃える会にいた可愛い女の子と連絡がとりたいそうだ」と名指しされてびっくり。
●早速テリー・サザーンに会いに行くと、映画「キャンディ」に出演してほしいという。
●テリー・サザーンに「MGMってどういう意味?」と聞くと「ミステリー、ゴールデン、ミステリーだよ」と冗談を言われ、長い間それを信じていた。
●テリー・サザーンを通じてトニー・カーティスやデニス・ホッパーとも知り合ったが、結局映画は予算の関係で流れてしまった。しかしデニス・ホッパーからは何度も会いたいと連絡された。
→【コメント】ラジオから自分を求める声が聞こえるというシチュエーションは乙女の夢。
トム・クレイはコミカルなキャラクターで人気を集めたニューヨーク出身のラジオDJです。マリリン・モンローと親しかった時期もあるらしい。
テリー・サザーンはイージー・ライダーの脚本で有名な作家・脚本家。
トニー・カーティス、デニス・ホッパーは説明不要ですね。パメラ、モテモテ。
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●ヴィトーのダンス教室では、男友達も女友達もたくさんできた。女の子たちは、たいていみんな訳知り顔のあの「60年代的」な笑顔を私にかえしてくれた。
●ビヴァリーという女の子と仲良くなった。とてもきれいな子で、一人ではできないことも二人ならできた。ベビーパウダーを使った遊びや、車内で裸になって知らない人を挑発する遊びなど。2人で疑似結婚式もあげた。
→【コメント】訳知り顔のあの「60年代的」な笑顔というのは、映画『あの頃ペニー・レインと』でペニーがいつも意味ありげな笑顔をたたえていたのを思い起こします。
車内で裸になって知らない人を挑発する遊び・・・気の置けない女友達を得て、パメラの行動が大胆になっていきます。
●ヴィトー夫妻の3歳の男の子ゴドーはある日不幸にも転落死してしまった。驚くことにヴィトー夫妻は(事務手続きを済ませた後)当日の予定を変えず、そのまま過ごした。人々から「今日はゴドーはどうしたの?」と聞かれると、「あの子は今日死んだんだ」と返した。動揺したパメラは踊りあかした。
●ヴィトー夫妻はまもなくグルーヴィー・ニップル(イカしたおっぱい)という名前の女の子をつくった。
→【コメント】後味が悪い話です。このヒッピー夫妻は、とにかくこれまでの常識を覆すようなことをしたかったんでしょうが、子どもが死んだ夜に普段通り過ごしているとは・・・。そして次の子どもにはキラキラネームを・・・。ニップルちゃんの幸せを祈ります。
●ヴィトー一団はそのころすっかり顔役で、ハリウッドではどこでもフリーパスだった。
→【コメント】そんなこんなでも、ヴィトーとそのとりまきはハリウッド界隈では人気者だったようです。
●ウィスキー・ア・ゴーゴーの隣のギャラクシーというクラブで、アイアン・バタフライのダリル・デローチと仲良くなる。アイアン・バタフライのステージはとてもセクシーだった。
→【コメント】アイアン・バタフライはサイケデリック・ロック・バンド。ダリル・デローチは1968年のファースト・アルバム『ヘヴィ』発表後に脱退しています。バンドは1971年に解散しますが、その後何度か再結成しているようです。
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●学生時代の友達リンダと旅に出た。リンダは最初に訪れたコミューンのケリスタ・ハウスに居着き、ハウスマザーになった。ケリスタ・ハウスは汚かった。
→【コメント】覚えていますか?第1章でパメラと一緒にビートルズに熱中した女の子ですね。二人で長旅をするはずだったのに、リンダは最初の地で安住することを決断しました。
その背景には、彼女の家庭の事情があったようです。彼女のお父さんは家族に自分がゲイであることを告白したそうで、家族の心はバラバラになってしまい、リンダは新しい居場所を求めていたんだとか。せつない話です。
ハウスマザーとはおさんどんをするひとのことみたいです。コミューンって、男女平等なイメージだったんですが、結局こういう役は女の子にまわってくるんですねえ。
●バマー・ボブという変人と知り合いになる。彼は、他人にカンパしてもらうことを「バムする」と名付けた人だった。スノーフォックスという犬をいつも連れていて、詩を朗読してくれた。のちに彼はマンソンファミリーに入って人殺しをし、トルーマン・カポーティ―にインタビューされた。
→【コメント】おそらく、元マンソンファミリーのボビー・ボーソレイユのことを指していると思います。ウェブサイト「Please Kill Me」にパメラが2018年3月27日に投稿したコラムによると、ボビー・ボーソレイユとゴールデンゲートパークでキスをしたことがあると告白しています。
私の手元にある「マーダー・ケースブック創刊号 シャロンテート殺人事件」のP.28にロバート・「ボビー」・ボーソレイルとして顔写真が載っています。愛くるしい顔立ちの男の子です。「22歳。カルト映画の俳優であり、シンガーソングライターの才能もあり。女にもてたためマンソンの不興を買う。」とあります。
彼は、のちにちらっと出てくるフォーク・ロック・バンドのラヴにも関係していたらしく、その音楽性は一部で認められているそうです。
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●ヒューマン・ビーイン(Human Be-In)に参加し、アレン・ギンズバーグ、ティモシー・リアリーをみる。
→【コメント】ウィキペディア先生によると、ヒューマン・ビーインとは1967年1月14日にアメリカ合衆国の西海岸で始まった、社会における人間性回復を求める人々の集会とのこと。アレン・ギンズバーグはビート文学の代表作家、ティモシー・リアリーはLSD研究で知られる学者です。
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●サンセット・ストリップでボブ・ストーンというバイオリン弾きのおじいちゃんと仲良くなった。彼はWhat’s Happening?が口癖だったので、ホワッツ・ハブニング・ボブといわれていた。
→【コメント】こういった街の有名人の話を読むのは好きです。ホワッツ・ハブニング・ボブは第5章にもちらっと出てきます。
●クリス・ヒルマンが別の女性と結婚してしまった。
→【コメント】クリス・ヒルマンへのアプローチは実らなかった・・・。これがクリスの最初の結婚だと思います。相手はアンヤ・バトラー(ゲイル・ザッパのグルーピー仲間)か?
●アイアン・バタフライのベーシストのバイト先の病院から、陣痛で苦しむ女性に処方される「トリマール」という薬を横流ししてもらうようになった。あとでわかったことだが、これは非常に強い薬だった。
→【コメント】そんなことしちゃダメだよ!ていうかミュージシャンなのに、ずいぶんかたいアルバイト先ですね。
●ビド・リドにてザ・ドアーズをはじめて観た。
●サンディという堅気の仕事をしている女の子と知り合い、ローレル・キャニオンで一緒に住むようになる。なんとお隣はジム・モリソンだということがわかり、部屋で発売前の「The End」を口ずさむ彼を発見した。
●ジムにトリマールを与え、バックステージから演奏をみるようになっていった。
●「ハートに火をつけて」のTry now・・・という歌詞は、トリマールと掛けられている。
●ビールを飲んで、それを友達にぶちまげるジム・モリソンをみた。彼は周りの人をいじめる人だった。
→【コメント】ジム・モリソンとの思い出が語られます。あいまいに書かれていますが、どうやら関係は持たなかったように読めますが本当のところはわかりません。
ジムにトリマールを教えた悪い女ですねえ。「ハートに火をつけて」の歌詞の解釈は本当なのか?
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次回は第3章~第4章のあらすじをご紹介します。
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