【ポストカード】コレクション⑦ 16世紀後半 西洋

ポストカード

16世紀後半の西洋絵画のポストカードコレクションです。

ブロンズィーノが描く薄命の美少女/寵姫から王妃になったビアンカ・カッペッロ

 

(左)Bronzino, Agnolo「マリア・ディ・コジモ1世・デ・メディチの肖像」, 1550-1551年, 油彩, ウフィツィ美術館
(右)Allori, Alessandro(工房)「ビアンカ・カッペッロの肖像」, 1578年, 油彩, ウフィツィ美術館

2016年に東京都庭園美術館にて開催された「メディチ家の至宝−ルネサンスのジュエリーと名画」にて購入したポストカードです。

ブロンズィーノといえば「愛の寓意」など寓意性をもたせた技巧的な絵画で知られますが、ここではメディチ家のコジモ1世の娘マリアを精緻に描き出しています。
母親ゆずりの美しさをたたえたマリアは、描かれて7-8年後、17歳という若さでこの世を去りました。そう、この絵が描かれた当時の彼女は10歳位なのです。凛としたたたずまいは高貴の女性そのものですが、よく見ると口元や手に幼さが残っています
少し外斜視ぎみの大きな美しい瞳が印象的な絵です。

右のポストカードは、トスカーナ大公フランチェスコ1世・デ・メディチの寵姫で、2番目の王妃となったビアンカ・カッペッロ(カペッロ)です。王の寵姫について調べるのが大好きな私は、現物を展覧会でおがむことができて興奮しました。

この絵が描かれた当時は30歳位。やや太り始めた様子で、高脂血症なのか、鼻のところに黄色腫ができているようにみえます。

権謀術数渦巻く中に身を置いていたビアンカですが、この絵のなかでは、堂々とした明るい女性の印象です。

彼女は聡明で、大公にさまざまな政治的アドバイスをしていたそうです。気分にむらがあった大公に代わり、影でトスカーナを統治していたのは実質彼女だったという説もあります。

(参考文献:「王たちのセックス 王に愛された女たちの歴史」(エレノア・ハーマン著、高木玲訳、KKベストセラーズ)

余談:王に愛された女たちの物語
フランスとイギリス王室を中心に、15世紀からカミラ夫人に至る現在までの王の寵姫を紹介する「王たちのセックス 王に愛された女たちの歴史」。どこから読んでも面白く、読者のゴシップ欲は高貴さでコーティングされながら満たされていきます
たまーに、展覧会で寵姫をモデルにした絵がありますので、多少は役にも立つ。

たくさん図版が見たいむきには「図説 ヨーロッパ宮廷の愛人たち」(石井美樹子著、ふくろうの本、河出書房新社)をおすすめします。

一人の寵姫をじっくりと知りたい場合は、「後宮異聞 寵姫ガブリエル・デストレをめぐって」(渡辺一夫著、筑摩書房)をおすすめします。こちらは内容の面白さはもちろんのこと、装丁が美しい本です。

アンニーバレ・カラッチ「聖母戴冠」


Carracci, Annibale「聖母戴冠」, 1580年頃, 油彩, パルマ国立美術館

2007年に国立西洋美術館にて開催された「パルマ―イタリア美術、もう一つの都展」にて購入したポストカードです。

こちらはコレッジョのフレスコ画の模写。オリジナルは1521年制作で、同じくパルマ国立美術館が所蔵しています。表情の付け方、ふんわりとした慈愛に満ちた雰囲気はこの模写の方が好きです。オリジナルはだいぶ傷んでいるということもありますが。
カラッチ一族は画家を多数輩出しており、この絵はアンニーバレ・カラッチとその兄アゴスティーノ・カラッチの合作の可能性があります。

まいまいつぶろコメント:こちら時代は下りますが、パルマ公国女王となったマリー・ルイーゼについて丁寧にその生涯を辿った良書です。おすすめ!

ピーテル・ブリューゲル(父)「聖アントニウスの誘惑(部分)」


Brueghel I, Pieter「聖アントニウスの誘惑(部分)」, 1556年, ボイマンス・ヴァン・ベーニンゲン美術館

版画「聖アントニウスの誘惑」の中央下部にいる怪物を切り取ったポストカードです。
2017年に東京都美術館で開催されたブリューゲル「バベルの塔」展にて購入しました。

頭隠して尻隠さず?な謎の化け物。お尻から出ているのはお酒でしょうか?
版画作品はポストカードにすると細かいところがよく見えなくなってしまいますが、こうやって部分的に切り取ると面白いですね。背景色はライトスチールブルーというのでしょうか、明るく薄い青銅色がマッチしており、にじみ感のあるフチでかわいらしくまとまっています

作者不明「チャムリー家の女たち」


Unknown「The Cholmondeley Ladies」, 1600-1610年, 油彩, テート美術館

イギリス旅行中、テート美術館にて購入したポストカードです。

この絵、ヘンです。見れば見るほどヘンです。16世紀後半のこのページに入れちゃいましたけど、1600年から1610年の間に描かれた作品なので、もう17世紀の作品です。しかし、このぎこちなさはもっと前の時代の絵画のよう。
全体的にギクシャクしているのに、2人の女性の表情はわりと柔軟な感じで、アンバランスです。奥行がない描き方で、身を起こしているのか、仰向けの状態なのかもわからない。でも、その綻びがこの絵の魅力なんじゃないかと思います。

同じ日に生まれ、同じ日に結婚し、同じ日に子供を産んだチャムリー家の姉妹が描かれていると解釈されていましたが、よく見ると2人の顔つきはかなり違うし、瞳の色も異なります。裸眼立体視(古い)すると、違いがよくわかります。女性たちは一卵性双生児ではなく姉妹なのではないかな。

当時の赤ちゃんは、動かないようにミイラのごとくぐるぐる巻きにされていたと聞きます。この絵の赤ちゃんも、すごく硬そうです。

次回は、17世紀前半の西洋絵画のポストカードをご紹介します。

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