【ポストカード】コレクション⑥ 16世紀前半 西洋

ポストカード

16世紀前半の西洋絵画のポストカードコレクションです。

クエンティン・マサイス「両替商とその妻」


Massys, Quentin「両替商とその妻」, 1514年, 油彩, ルーヴル美術館

2015年に国立新美術館で開催された「ルーヴル美術館展 日常を描く -風俗画に見るヨーロッパ絵画の真髄」にて購入したポストカードです。
マサイスは、一度見たら目を反らすことができない怪作「醜女の肖像」が有名ですが、ポストカードが入手できていないのでこちらを紹介することにしました。

当時商業都市として栄えていたベルギー・アントワープの両替商夫婦を描いた風俗画です。中年にさしかかったくらいの夫婦かな。夫の方は硬貨の重さを秤で量っています。硬貨、小物入れ?、指輪、布の上におかれた真珠、ガラス瓶など小物の描写が凄まじく緻密

お仕事モードの夫を傍に、妻は時祷書(小口にすてきなあしらいがあり、絵入りの豪華なものにみえます)をパラパラとめくっています。
こんなシチュエーションあるんかな?日に何度か時祷書を使い祈祷すると思うのですが、普通、夫婦二人とも作業の手を止めてやるか、やむを得ず片方が手が離せなかったら別室に行ったりしませんか?

マサイスは両極端なものの対比をよく描く画家です。「不釣り合いなカップル」では、若い女と醜い老人を描いています。この絵でも、奥の部屋では小さく老人と若者が描かれています。
おそらくこの絵も、夫=俗、妻=聖という対比なのでしょう。ただし、妻は夫の作業に気を取られて、俗の世界に引っ張られそうになっているようにもみえます。

そのほか、棚に飾られているさまざまなものも、意味がありそうです。
当時の両替商のことよく知らんけど、こんな飾り棚が仕事場にあるのは多分おかしいですよね。普通、出納帳とか書類でいっぱいなのでは。

さまざまなことを想像したり、興味がわいてくる、お得(?)な絵です。

ティツィアーノ・ヴェチェッリオ「鏡の前の女」


Vecellio, Tiziano「鏡の前の女」, 1515年, 油彩, ルーヴル美術館

ヴェネツィア派を代表する画家ティツィアーノ・ヴェチェッリオの作品です。こちらも「ルーヴル美術館展 日常を描く -風俗画に見るヨーロッパ絵画の真髄」にて購入したポストカードです。

若い女性が、男性に2つの鏡を持ってもらって髪型の仕上がりを確認しています。美容院でよく見る光景ですね。大きい方の鏡は凸面鏡です。

女性の髪の色、女性の服の白と青、男性の服の赤の取り合わせが美しく、安定感があります。

女性の見事な金髪は、天然ではなく脱色しているそうです。ちょっと赤味がかった金髪です。
我々日本人は、欧米には天然の金髪の方がたくさんいるとつい思ってしまいますが、案外少なくて、かなりの率で脱色していますよね。
当時の脱色剤は、髪を漬けるだけではだめで、漬けた状態で日光にさらさないといけなかったそうです。大変。その様子を描いた絵もあったらみてみたい。

自分の美を入念にチェックするやや豊満な若い女性の、匂い立つような色気を感じます。

パルミジャニーノ「貴婦人の肖像(アンテア)」


Parmigianino「貴婦人の肖像(アンテア)」, 1524年, 油彩, カポディモンテ美術館

2010年に国立西洋美術館で開催された「ナポリ・宮廷と美 カポディモンテ美術館展」にて購入したポストカードです。

一見、正面を向いているように見えますが、少しひねって向かって左がやや前に来るようなポーズになっています。
透き通るような白い肌、理知的な表情に強く惹かれます。

この時代、男性は肩パットを入れて肩を広く見せ、逆三角形のシルエットを作ることに余念がなかったと思いますが、女性も一部そのようなファッションがあったのですね。勉強不足でした。ビッグシルエットが、華奢そうな彼女の体形を逆に想像させて色っぽい

果たして彼女は高級娼婦なのか?それとも画家パルミジャニーノの身内の女性なのか?いずれにせよ、心惹かれる女性です。

ルーカス・クラナッハ「林檎の木の下の聖母子」


Cranach der Ältere, Lucas「林檎の木の下の聖母子」, 1530年, 油彩, エルミタージュ美術館

森アーツセンターギャラリーにて2017年に開催された「大エルミタージュ美術館展 オールドマスター 西洋絵画の巨匠たち」にて購入したポストカードです。展覧会チラシのメインビジュアルの一つになっていました。

クラーナハは頭の中に理想の女性像があり、どの女性をモデルにしても同じ顔になってしまうのでしょう。この聖母も、他の作品で見られる小悪魔的な流し目美女になっています。聖母がこんなに色っぽくていいのかな?

後ろでたわわに実るリンゴも、どことなく色気を感じませんか?乳房みたいな。いうまでもなく、リンゴは人間の原罪の象徴ですので、含みを持たせているのかもしれません。

ティントレット「動物の創造」


Tintoretto, Jacopo「動物の創造」1550年, 油彩, アカデミア美術館

2011年に江戸東京博物館で開催された「ヴェネツィア展」にて購入したポストカードです。

旧約聖書の「創世記」で書かれている天地創造の第5日目~第6日目の「動物たちの創造」を題材にした絵です。幻想的な構図と筆遣いで、一瞬ウィリアム・ブレイクの絵かと思いました。
向かって右から左へと、ダイナミックに流れる絵です。右端で断ち切られた牛と馬?一角獣?の構図がセンスを感じます。

次回は、16世紀後半の西洋絵画のポストカードをご紹介します。

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