【展覧会チラシ】2020年上半期 私的ベスト10

展覧会チラシ・目録

2020年上半期の展覧会チラシ蒐集状況

2020年上半期に集めた展覧会チラシは72枚です。以下は開催日付順で、番号は順位ではありません。

「日本書紀成立1300年 特別展『出雲と大和』」(東京国立博物館)


写真:画文帯神獣鏡(奈良県桜井市ホケノ山古墳出土)、国宝 銅鐸(島根県雲南市 加茂岩倉遺跡出土)

『日本書紀』が編纂された養老4年(720)から1300年を記念して開催された、出雲と大和(島根県と奈良県)の名宝を一堂に集め、古代日本の成立やその特質に迫る展覧会です。

金の縁取りが荘厳な雰囲気を醸し出しています。画文帯神獣鏡と銅鐸のまわりにスモークがはられているのはちょっとやりすぎ感がありますが。

「『鉅鹿』発見100年 磁州窯と宋のやきもの」(静嘉堂文庫美術館)


写真:磁州窯《白地黒掻落牡丹文如意頭形枕》、磁州窯系《黒釉線彫蓮唐草文瓶》

中国の工芸文化のひとつのピークとして評価されている宋磁(中国宋代の陶磁器)。近代における宋磁蒐集の契機となった北宋の町・鉅鹿遺跡と磁州窯の陶器の再発見からおよそ100年にあたることを記念して開催された展覧会です。

磁州窯は日用の器物を大量に生産した民窯。白化粧や黒釉の技法を基本に、「掻落し」と呼ばれる彫刻的な文様表現、鉄絵や紅緑彩(赤絵)、三彩や翡翠釉などを用いた多種多彩な陶器を生み出しました。

黒と白のコントラストが美しい磁州窯のやきものに、はっきりとした赤がとてもよく効いている展覧会チラシです。

「白黒つけるぜ!」というコピーも楽しいですね。

「ハマスホイとデンマーク絵画」(東京都美術館)


写真左:ヴィルヘルム・ハマスホイ《寝室》
写真右:ヴィルヘルム・ハマスホイ《室内》

静かな室内や風景を描き、“北欧のフェルメール”とも呼ばれる画家ヴィルヘルム・ハマスホイと、19世紀デンマークの画家たちを紹介する大型展です。

2008年に日本ではじめて展覧会が開かれた際は「ハンマースホイ」表記だったと思いますが、より現地の発音に近い(?)「ハマスホイ」に変わったのでしょうか。

二つ折りの形状で、両面ともに表紙扱いの展覧会チラシです。

ハマスホイの静謐な魅力を伝えるべく、文字情報を極力排除しています。展覧会タイトルは左下に目立たない形で配置、開催期間などの概要はすべて中面に掲載されています。ごちゃごちゃと情報がつまった展覧会チラシが多いなか、逆に目をひくのではないでしょうか。

「ピーター・ドイク」(東京国立近代美術館)


写真:ピーター・ドイク《ガストホーフ・ツァ・ムルデンタールシュペレ》

ロマンティックかつミステリアスな風景を描き、今最も注目されている現代作家のひとりであるピーター・ドイグの日本初個展です。

展覧会チラシはペラと二つ折りの2つのバージョンがあります。

メインビジュアルに選ばれているのは、まるで高熱が出た日に見る奇妙な夢のような《ガストホーフ・ツァ・ムルデンタールシュペレ》。ペラでは全体像が、二つ折りでは2人の男にクロースアップした形になっています。

淡い色合いのメインビジュアルに対し、ハレーションを起こしたようなタイトルデザインが不思議とマッチしています。

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「かたちときもち 吉の毎日」(ATELIER MUJI GINZA)


室町時代に確立した、贈答の際の包みと結びの礼法の「折形(おりがた)」をテーマに、その知恵と美意識に育まれ今を生きる、「かたち」と「きもち」を紹介する展覧会です。

上の写真ではよく見えませんが、展覧会チラシにも折り目がついていて折れるようになっているのが面白い。ただ、デザインなのか、実際に何か形を折ることができるのか、私にはわかりませんでした。

「満天の星に、創造の原石たちも輝く -カワル ガワル ヒロガル セカイ-」(都内6会場)


写真:鵜飼結一朗《船》

都内の複数の施設において、アールブリュットの作家を紹介するという特別展です。
都内の6つの会場で開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の感染拡大を防止する観点から、第1~4会場の開催は中止となりました。

上の画像ではわかりにくいですが、三つ折りで、左側が少し短くなっていて開きやすくなっています。

メインビジュアルに選ばれているのは、鵜飼結一朗《船》。南蛮人にアニメのキャラクターのようなものや、図鑑から選ばれていると思われる恐竜らが縦横無尽にうごめく不思議な絵です。色彩感覚がすてきです。

「ドレス・コード?ー着る人たちのゲーム」(東京オペラシティアートギャラリー)


写真:COMME des GARÇONS 2018年春夏ほか

東京オペラシティアートギャラリーがたびたび開催する、ファッションをテーマにした展覧会です。京都服飾文化研究財団の所蔵品を中心に、ファッションそのもののほか、映画やマンガなどに描かれたファッションも紹介し、現代社会における新たな〈ドレス・コード〉、装いの実践(ゲーム)を見つめ直すというものです。

当初は2020年4月11日(土)から6月21日(日)まで開催の予定でしたが、新型コロナウイルス感染症の影響で会期変更になり、7月4日(土)から8月30日(日)までとなりました。

両観音開きになっており、真ん中で開くと展示概要があらわれます。

丸い形を描くタイトルデザインが印象的で、背景の朱色がかった赤色も効いています。

「芸術×力 ボストン美術館」(東京都美術館)※開催中止、2022年開催予定


写真左:増山雪斎《孔雀図》
写真右:《平治物語絵巻 三条殿夜討巻》

ボストン美術館のコレクションから、「権力を誇示・維持する」という芸術作品の役割に注目して構成した展覧会です。2020年に開催される予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中止となり、2022年7月に開催が予定されています(2021年11月現在)。

別のものを選ぼうかと思ったのですが、2020年上半期は正直なところあまり他に選べるものがなく・・・。

増山雪斎《孔雀図》と《平治物語絵巻 三条殿夜討巻》が丸くクロースアップされ、それぞれの絵からテーマカラーが抽出され、インパクトがあります。

ポップなタイトルデザインが不思議と画にあっています。

「東京クロニクル1964-2020展-オリンピックと東京をめぐる創造力の半世紀-」(町田市民文学館 ことばらんど)


1964年のオリンピック開催から56年たち、「東京」は大きく変貌を遂げました。「東京」という都市を舞台にした文学作品や、雑誌、記録写真、映像。美術作品を手掛かりに、そこに表現された「東京」のイメージやテーマ、書き留められた風俗や事象を解読する展覧会です。

「東京」「クロニクル」という文字が、同じシルエットのなかからつくられているというのが面白いです。

あえて余白がないぎりぎりのところにおかれたテキストが勢いを感じさせます。

「ショパン ― 200年の肖像」(練馬区立美術館)


写真:アリ・シェフェール《フリデリク・ショパンの肖像》、《「エチュードヘ長調 作品10の8」自筆譜(製版用)》

2019年に迎えた日本・ポーランド国交100周年を記念して、ポーランドが誇るロマン主義を代表するピアニストで作曲家のフリデリク・ショパンを新たな視点から再考する展覧会です。

アリ・シェフェール《フリデリク・ショパンの肖像》の髪の部分に、《「エチュードヘ長調 作品10の8」自筆譜(製版用)》を入れ込むという異色のメインビジュアル。クラシックということでかたくなりがちなところを面白いイメージに仕上げていると思いますが、本人が見たらどう思うかしらん?

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次回は、2020年下半期の展覧会チラシ 私的ベスト10をご紹介します。

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