- 2020年下半期の展覧会チラシ蒐集状況
- 「開校100年 きたれ、バウハウス ―造形教育の基礎―」(東京ステーションギャラリー)
- 「日本美術の裏の裏」(サントリー美術館)
- 「没後10年 井上ひさし展 ―希望へ橋渡しする人」(世田谷文学館)
- 「分離派建築会100年 建築は芸術か?」(パナソニック汐留美術館)
- 「式場隆三郎 腦室反射鏡」(練馬区立美術館)
- 「荒俣宏の大大マンガラクタ館」(千代田区立日比谷図書文化館)
- 「異空間同時展示アーカイヴ」(複数会場)
- 「MOTアニュアル2020 透明な力たち」(東京都現代美術館)
- 「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」(東京都現代美術館)
- 「男性彫刻」(東京国立近代美術館)
2020年下半期の展覧会チラシ蒐集状況
2020年下半期に集めた展覧会チラシは162枚です。以下は開催日付順で、番号は順位ではありません。
「開校100年 きたれ、バウハウス ―造形教育の基礎―」(東京ステーションギャラリー)
バウハウス開校100年を祝して全国を巡回した展覧会です。
会場はかなり混んでおり、開催終了間際にはチケットが完売するという、東京ステーションギャラリーとしては珍しいことが起きました。
バウハウスの例のフォントでシンプルに訴求した展覧会チラシです。
上部にはドイツカラーを使って、少し昔風のフォントと組み方で開催概要が入っています。
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「日本美術の裏の裏」(サントリー美術館)
写真:円山応挙《青楓瀑布図》
生活の中の美の“愉しみ方”に焦点をあて、サントリー美術館の収蔵品の中から、日本ならではの美意識に根ざした作品を紹介する展覧会です。
タイトルの「裏」は、「見えない部分」と「奥深く、隠された魅力」を意味しています。
タイトルの一部が円山応挙《青楓瀑布図》の裏に隠れていたり、「の」の字が反転している面白いデザインです。「何が隠されているんだろう?」と気になってしまいます。
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「没後10年 井上ひさし展 ―希望へ橋渡しする人」(世田谷文学館)
小説家、劇作家、放送作家の井上ひさし没後10年を記念した回顧展です。
タイトルの「希望へ橋渡しする人」は、井上ひさし最後の戯曲『組曲虐殺』から引用されています。
メインビジュアルは、28枚の原稿用紙に描かれた井上ひさしのポートレート。書かれているのは、「雪やこんこん―湯の花劇場物語」「箱根強羅ホテル」「シャンハイムーン」などでしょうか。このアイディア、面白いです。
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「分離派建築会100年 建築は芸術か?」(パナソニック汐留美術館)
写真:第7回分離派建築会展覧会 会場
大正時代の建築界に鮮烈なインパクトを与えた、日本で最初の建築運動とされる分離派建築会に焦点をあてた展覧会です。
上の画像ではわかりにくいのですが、3つ折りの変形チラシになっています。
表面は横向き、裏面には分離派建築会の宣言を掲載しており、こちらは縦向きです。
数年前から日英併記の展覧会チラシが増えてきましたが、こちらも日英併記です。
あえてびっしりとテキストが組まれるなか、赤の「?」と黄色の「Rise Up!」が効いています。
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「式場隆三郎 腦室反射鏡」(練馬区立美術館)
精神科医として働くかたわら、柳宗悦の民藝運動への同伴、ゴッホをはじめとする美術評論などの執筆、山下潔展の開催など多彩な足跡を残した式場隆三郎を、約200点の作品・資料を通して辿る展覧会です。
この展覧会チラシは私が特に気に入っているもので、2020年のベストワンです。
あえて粗めの写真を使っており、頭がぱっくりとわれています。「腦室反射鏡」という展覧会タイトル(式場隆三郎の著書名でもある)から導いたデザインなのでしょう。
柳宗悦は「式場君の趣味は甚だ多面的だ」と発言していますが、そうした彼の頭のなかを少しのぞいてみようという遊び心を感じます。
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「荒俣宏の大大マンガラクタ館」(千代田区立日比谷図書文化館)
荒俣宏の人生と好奇心の拡がりを、自身のコレクションや創作物などで紹介する展覧会です。荒俣氏が館長を務める京都国際マンガミュージアムで定期的に開催されていた小企画「大マンガラクタ館」の特別拡大版を、東京に場所を移し開催されたものです。
〈マンガラクタ〉とは、マンガを含め、「だれかに発見されないかぎり、ずっとゴミくず同然に埋もれてしまう」ガラクタこそを面白がる、という価値観を示した荒俣宏の造語です。
自身のコレクションに埋もれた荒俣氏の写真がまず面白い。タイトルの右側が少し切れていて、左側とつながっているようなデザインも不思議な感じでよいです。
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「異空間同時展示アーカイヴ」(複数会場)
異空間同時展示の構想から実現までの全記録を網羅した初のアーカイブ展とのこと。こちらのイベントは行けなかったため詳細はよくわかりません、すみません。
モワレというのか、罫線の上に模様が重なった部分のうねりがとても面白く、じっくり見入ってしまう展覧会チラシです。
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「MOTアニュアル2020 透明な力たち」(東京都現代美術館)
東京都現代美術館が毎年行っている若手作家のグループ展です。
第16回目となる本展では、人や物を動かしている自然界や社会の中の不可視の力の作用に着目し、そのメカニズムを再構築しようと試みるアーティスト5組が紹介されました。
縦と横の2種類の展覧会チラシがあります。
銀の箔が部分的に使われており、方眼紙のような背景にとてもよく映えています。
ぜひ現物を手に取っていただきたくなる発色の美しさです。
「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」(東京都現代美術館)
写真左:石岡瑛子《赤いマッスル・アーマー、ブラド・ドラキュラの衣装デザイン・ドローイング》
写真右:石岡瑛子《コクーンのための絵コンテ(ビョーク:コクーン)》
アート・ディレクター、デザイナーとして多岐にわたる分野で新しい時代を切り開き、国内外で高い評価を受け世界を舞台に活躍した、石岡瑛子の初の大規模な回顧展です。
まずこのメインビジュアルになっている《赤いマッスル・アーマー~》の迫力がすごいのですが、その上に赤地に黒で載っている展覧会タイトルのバランスがすばらしいです。
日英併記の展覧会チラシで、裏側が英語表記、ビョークの「コクーン」のPVのドローイングを掲載しています。
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「男性彫刻」(東京国立近代美術館)
写真:荻原守衛《文覚》ほか
東京国立近代美術館のコレクションによる小企画で、20世紀初頭から1940年代にかけて日本で生み出された、男性をかたどった彫刻を紹介するものです。
三つ折りになっており、閉じた状態では男性彫刻たちがチラ見えしています。開くと男性彫刻の全体とQ&A(「『男性彫刻』ににじりよるためのQ&A」というタイトルもも面白い)が掲載されています。
彫刻の形に沿って紙が切り抜かれているので、大変なコストがかかったものと思います。チラ見えしているというアイディアが大好きです。
こちらの展覧会チラシ(リーフレット)は限定4000部とのことで、入手できてよかったです。
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次回は、2021年上半期の展覧会チラシ 私的ベスト10をご紹介します。
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