【展覧会チラシ】2015年下半期 私的ベスト10

展覧会チラシ・目録

2015年下半期の展覧会チラシ蒐集状況

2015年下半期に集めた展覧会チラシは122枚です。以下は開催日付順で、番号は順位ではありません。

「エリック・サティとその時代」(Bunkamuraザ・ミュージアム)

写真左:フランシス・ピカビア《「本日休演」の楽譜の口絵》
エリック・サティ(作曲)、シャルル・マルタン(挿絵)『スポーツと気晴らし』より《カーニヴァル》
写真右:マン・レイ《エリック・サティの眼》
エリック・サティ(作曲)、シャルル・マルタン(挿絵)『スポーツと気晴らし』より《カーニヴァル》

20世紀への転換期に活躍したフランスの作曲家エリック・サティ。マン・レイによって「眼を持った唯一の音楽家」と評されたサティの活動を芸術家との交流を通して振り返る展覧会です。展示会場ではサティの音楽が流れるという珍しい趣向でした。

2種類の展覧会チラシがあり、白の背景にサティの楽譜と関連アーティストの作品が入っています。
蛍光ピンクのタイトルデザインはややとぼけた印象ですが、全体の調和がとれた美しい展覧会チラシです。

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「鈴木理策写真展 意識の流れ」(東京オペラシティアートギャラリー)


写真:鈴木理策「水鏡14, WM-61」

2007年の展覧会チラシ 私的ベスト10でも紹介した鈴木理策の、東京オペラシティアートギャラリーで開催された個展です。

写真の印刷の仕上がりを追求した結果か、「写真」の形にこだわったものなのか、写真部分を展覧会チラシとは別の紙で印刷しており、展覧会チラシの左端に糊付けされています。

「水鏡」と題された作品の発色は見事で、眺めているとすいこまれてしまうような感覚を持ちます。

「生誕200年記念 伊豆の長八 ―幕末・明治の空前絶後の鏝絵師」(武蔵野市立吉祥寺美術館)


写真:入江長八「上総屋万次郎像」ほか

幕末明治前期の江戸/東京で活躍した伊豆・松崎出身の左官・入江長八の生誕200年を記念した、都内ではじめての大回顧展です。

なんともいえない表情をみせる「上総屋万次郎像」を中心に、すこしユーモラスなタイトルデザインがよく合っています。

「伊豆」の「豆」のなかに作品の一部が入っているのがかわいいです。

この展覧会で長八の魅力にとりつかれた私は、この年松崎に旅行し「伊豆の長八美術館」に赴きました。また、つげ義春も訪れた「山光荘」に宿泊し、現地でしかみられない長八作品を堪能しました。

「春画展 大英博物館特別出品」(永青文庫)


写真:喜多川歌麿「ねがひの糸口」

大英博物館で好評を博した「春画展」を受けて、日本初となる春画を真っ向から扱った展覧会です。アクセスがよいとはいえない永青文庫に連日長蛇の列ができるなど、当時大変な話題になりました。

題材の性質上、展覧会チラシでは作品全体を扱うことができないため、喜多川歌麿「ねがひの糸口」の一部を切り取ってデザインしています。このチョイスが非常に巧みで、両観音開きの体裁になっていることも相まって、もっと先が見たいという気持ちをひきだすことに成功しています。

展覧会タイトルの入り方もさりげなく、作品に調和しており大変美しい展覧会チラシです。

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「すごいぞ、これは!」(埼玉県立近代美術館)


写真:喜舎場盛也/川上健次/刈谷智恵/杉浦篤/前田諒太郎/伊藤輝政藤岡祐機/阿部恵子/しろ/田湯加那子/本田雅啓/西脇直毅

文化庁の平成27年度戦略的芸術文化創造推進事業の展覧会です。ハンディキャップがあり、専門の美術教育を受けていない12名のアーティストたちの作品を、全国の美術館学芸員や美術の専門家が「すごい」と推薦するものです。

あえてとっちらかったようなデザインにし、12人分の「すごいぞ、これは!」をちりばめることで、個々の作品のもつエネルギーをアピールしているかのようです。

「Re: play 1972/2015―「映像表現 ’72」展、再演」(東京国立近代美術館)

1972年に京都市美術館で開催された「映像表現 ’72」展を再び開催するという趣向の展覧会です。

非常に薄い紙を採用しており、上部に青緑の展覧会タイトルや開催日時を記した紙が糊付けされています。

青緑色と黒の発色が非常に美しい展覧会チラシです。映像表現をチラシで表現するのは簡単なことではないと思いますが、ながめていると映像や音が浮かび上がってくるようです。

「逆境の絵師 久隅守景 親しきものへのまなざし」(サントリー美術館)


写真:久隅守景「納涼図屏風」「鷹狩図屏風」

江戸時代初期に活躍した謎の多い異色の絵師・久隅守景の展覧会です。

誰もが一度は見たことがある、ゆるい雰囲気がただよう名品「納涼図屏風」などをメインビジュアルに、曲線をうまく使ったデザインと、かわいらしく丸みを帯びたタイトルデザインがよく合っています。

「アジアの日常から:変容する世界での可能性を求めて」(TOTOギャラリー・間)


TOTOギャラリー・間の創設30周年記念展として、アジア各地から建築家を招いて開かれた展覧会/シンポジウム/講演会です。

5つの帯は、タイ、シンガポール、ベトナム、中国、日本の5つを示しているでしょうか。帯の形は上昇=変容していると連想することもできます。

クラフト感のある紙を用いて、落ち着いた雰囲気に仕上がっています。

裏面では展覧会タイトルが鏡文字になっています。

「始皇帝と大兵馬俑」(東京国立博物館)

写真:跪射俑/軍吏俑/将軍俑/歩兵俑/立射俑

始皇帝の陵墓のほど近くに埋められた、バリエーション豊かな兵馬俑と始皇帝にまつわる貴重な文物を一堂に紹介し、始皇帝が築き上げた「永遠の世界」の実像に迫る展覧会です。

兵馬俑のかっこよさ、頼もしさを堪能できる展覧会チラシです。

かすれ感のあるタイトルデザインと、土色の囲みにより、格調高いイメージに仕上がっています。

「横浜発 おもしろい画家:中島清之 日本画の迷宮」(横浜美術館)

写真左:中島清之《喝采》
写真右:中島清之《花に寄る猫》

常に新しい様式と手法に挑戦し続けた異色の日本画家・中島清之の大回顧展です。

二つ折りの展覧会チラシで、両面とも表面扱いになっています。

まるで額縁のようにテキストが作品を取り囲む面白いデザインです。
左の作品は、名曲《喝采》を熱唱するちあきなおみを描いたものです。日本画家が流行歌手を主題にするというのは前例がなく、当時大変な話題になったそうです。どういう気持ちになったらいいかわからない不思議な画です。

次回は、2016年上半期の展覧会チラシ 私的ベスト10をご紹介します。

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