- 2012年下半期の展覧会チラシ蒐集状況
- 「『具体』-ニッポンの前衛 18年の軌跡」(国立新美術館)
- 「鋤田正義展 SOUND&VISION」(東京都写真美術館)
- 「ホームアゲイン Japanを体験した10人のアーティスト」(原美術館)
- 「ポール・デルヴォー 夢をめぐる旅」(府中市美術館)
- 「棚田康司-たちのぼる。」(練馬区立美術館)
- 「齋藤茂吉と『楡家の人びと』」(世田谷文学館)
- 「維新の洋画家 川村清雄」(江戸東京博物館)
- 「美術にぶるっ! ベストセレクション 日本近代美術の100年」(東京国立近代美術館)
- 「会田誠展:天才でごめんなさい」(森美術館)
- 「白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ」(Bunkamuraザ・ミュージアム)
2012年下半期の展覧会チラシ蒐集状況
2012年下半期に集めた展覧会チラシは98枚です。以下は開催日付順で、番号は順位ではありません。
「『具体』-ニッポンの前衛 18年の軌跡」(国立新美術館)
1954年、関西の抽象美術の先駆者・吉原治良をリーダーに、阪神地域在住の若い美術家たちで結成された前衛美術グループ「具体」を取り上げる展覧会です。
この展覧会の約半年後の2013年には、ニューヨークのグッゲンハイム美術館で「具体展」が開催されるなど、世界的に再評価が高まっていた時期といえます。
パフォーマンスアートの写真や展覧会の写真などを取り上げ、黄色の縞の上に大きく「GUTAI」と入れたデザインが効いています。
美術ファンは具体のことをよく知っていますが、なじみのない層にも「何だろう?」と思わせ、とりあえず「具体」という言葉を印象づけるために、思い切ったデザインにしたのかなと思います。具体でよく知られている白髪一雄や吉原治良などの絵画作品は中面で紹介しています。
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「鋤田正義展 SOUND&VISION」(東京都写真美術館)
写真:鋤田正義「デヴィッド・ボウイ」「東京スカイツリー」「ハワイ」
写真家・鋤田正義の回顧展です。タイトルは、デヴィッド・ボウイの名盤「LOW」の曲から。
ソラリゼーションのボウイの写真のポーズが、まるで鋤田氏(とボウイが)作り上げた世界に導いてくれるようです。複数のフォントを使ったり、あえてちょっと昔風にしたりと工夫が凝らされています。
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「ホームアゲイン Japanを体験した10人のアーティスト」(原美術館)
写真:フロレンシア ロドリゲス ヒレス「Fictional Islands」ほか
(うちのスキャナーの機能の限界で、上の写真ではよく見えませんが)蛍光オレンジのタイトルが白地によく映えています。このころは、こういう蛍光オレンジを使うのが流行っていたのかな。
10 ARTISTS…の10が丸囲み表示なのがちょっと面白いです。
「ポール・デルヴォー 夢をめぐる旅」(府中市美術館)
写真左 :ポール・デルヴォー「夜明け」
写真中央:ポール・デルヴォー「会話」
写真右 :ポール・デルヴォー「行列」
ベルギーのシュルレアリスムを代表する画家、ポール・デルヴォーの展覧会です。
「夢に、デルヴォー。」これは・・・出オチ感がすごい。まじめな人は怒るかもしれないですけど、「夢」はデルヴォーのキーワードですし、そんなに外れていないと思います。
作品の中から黒と青を抽出してテーマカラーにしており、全体が引き締まって見えます。
三つ折りのパンフになっており、3つの面を表紙にすることができる仕掛けです。
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「棚田康司-たちのぼる。」(練馬区立美術館)
写真:棚田康司《立ち上がった少年》
人間、とくに少年少女を彫り続けてきた彫刻家・棚田康司の展覧会です。
「RISE(たちのぼる)」という大きな字の上に、作品《立ち上がった少年》が重ねられています。展覧会タイトルは、煙のイメージから湧き出たとのことですが、煙のようにゆらゆらと揺れながら昇っていく少年の姿は、とても不安そうに見えます。
「RISE」のSの曲線と、Eの横棒が作品に沿う形になっているのが心憎いです。
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「齋藤茂吉と『楡家の人びと』」(世田谷文学館)
齋藤茂吉生誕130年を記念した展覧会です。
見開きのパンフで、イラストがふんだんに使われ、角が丸まっておりかわいらしい印象です。「楡家の人びと」の徹吉(=茂吉)の肩を院代先生がのぼっていくイラストが面白い。
裏面では「楡家の人びと」の人物相関図があり便利です。
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「維新の洋画家 川村清雄」(江戸東京博物館)
写真:川村清雄「建国」
近年評価が高まる洋画家・川村清雄の展覧会です。
テーマカラーをオレンジと黄緑にし、ポップなフォントで親しみやすさを出しています。
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「美術にぶるっ! ベストセレクション 日本近代美術の100年」(東京国立近代美術館)
写真左:土田麦僊「湯女」
写真右:上村松園「母と子」
東京国立近代美術館60周年記念特別展として、日本近代美術100年から選りすぐりの逸品を展示する展覧会です。
東京国立近代美術館の日本画展としてはちょっと珍しい感じのフォント使いです。「美術にぶるっ!」というタイトルに負けない強めのデザインです。土田麦僊の方は絵の上にかなり大胆に載せているので、好みが分かれるかもしれません。
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「会田誠展:天才でごめんなさい」(森美術館)
写真:会田誠「滝の絵」
日本を代表するアーティスト・会田誠の全貌を明らかにする展覧会です。一部エリアの性的表現を含む刺激の強い作品が“炎上”したことを覚えている方も多いかと思います。
これは展覧会チラシデザインというより、そもそも絵の持つ力の強さで勝利していますね。スクール水着女子の数人がタイトルとちょびっとからんでいるのも可愛いです。
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「白隠展 HAKUIN 禅画に込めたメッセージ」(Bunkamuraザ・ミュージアム)
写真左:白隠慧鶴「半身達磨」ほか
写真中央・右:白隠慧鶴「布袋吹於福」
臨済宗中興の祖とたたえられ、多くの魅力的な禅画を残した江戸時代の禅僧・白隠慧鶴を取り上げた展覧会です。
複数の展覧会チラシが存在し、左は最初に出たバージョンかなと思います。こちらはちょっと地味ですが、そのあとに出た右のバージョンは、ユーモラスな白隠の魅力を存分に伝えています。布袋の口から出た煙は、裏面にもつながっているのが面白いです。
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次回は、2013年上半期の展覧会チラシ 私的ベスト10をご紹介します。
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