- 2014年上半期の展覧会チラシ蒐集状況
- 「Kawaii日本美術」(山種美術館)
- 「プライベート・ユートピア ここだけの場所」(東京ステーションギャラリー)
- 「IMARI/伊万里 ヨーロッパの宮殿を飾った日本磁器」(サントリー美術館)
- 「驚くべきリアル」(東京都現代美術館)
- 「ネオ・ダダ 新作展 2013-2014」(Gallery 58)
- 「こども展 名画にみるこどもと画家の絆」(森アーツセンターギャラリー)
- 「超絶技巧!明治工芸の粋」(三井記念美術館)
- 「公募団体ベストセレクション 美術 2014」(東京都美術館)
- 「徒然草 美術で楽しむ古典文学」(サントリー美術館)
- 「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である」(東京国立近代美術館)
2014年上半期の展覧会チラシ蒐集状況
2014年上半期に集めた展覧会チラシは102枚です。以下は開催日付順で、番号は順位ではありません。
「Kawaii日本美術」(山種美術館)
写真:奥村土牛《兎》、狩野永良《親子犬図》、上村松園《折鶴》、伊藤若冲《伏見人形図》、竹内栖鳳《みゝづく》、熊谷守一《とのさま蛙》、谷内六郎《童謡にっぽんのわらべうた さし絵シリーズ》、伊藤若冲《樹花鳥獣図屏風》
2013年ごろからにわかに注目されるようになった「かわいい」日本美術を紹介する展覧会です。
伊藤若冲、奥村土牛、熊谷守一などさまざまなかわいい動物や人物がちりばめられ、一部はタイトルの文字の上に乗ったりしています。うちのプリンターの性能の限界で、上の写真ではうまく見えませんが、蛍光ピンクのテキスト色も効いています。
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「プライベート・ユートピア ここだけの場所」(東京ステーションギャラリー)
写真:ライアン・ガンダー《四代目エジャートン男爵の16枚の羽毛がついた極楽鳥》
ブリティッシュ・カウンシル・コレクションから、英国美術の現在を代表する約30名のアーティストによる絵画、写真、映像、立体など約120点を紹介する展覧会です。
右上に展覧会タイトルがあり、日英併記で四角くまとまっているのが面白いです。
メインビジュアルに選ばれたライアン・ガンダー《四代目エジャートン男爵の16枚の羽毛がついた極楽鳥》は、18種類のニューギニアの鳥の剥製からできています。この鳥について作家は架空の記事をこしらえ、架空の貴族で鳥博士の“四代目エジャートン男爵”がこの鳥を発見して女王にお披露目したという物語を作り上げました。
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「IMARI/伊万里 ヨーロッパの宮殿を飾った日本磁器」(サントリー美術館)
写真:色絵松竹梅鶴文注器ほか
ヨーロッパの王侯貴族らに珍重された日本の伊万里をとりあげた展覧会です。日本初公開となった大阪市立東洋陶磁美術館所蔵の輸出伊万里を中心に約190作品が紹介されました。
飾り棚のようなイメージで出品物が並んでいます。展示物の部分にPP加工がほどこされており、つるつるとした磁器の手触りを連想させるようにしているのが面白いです。
「IMARI」というタイトル部分は文様があしらわれており、ここも細かくPP加工がなされています。一見地味ですが、結構コストがかかった展覧会チラシではないでしょうか。
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「驚くべきリアル」(東京都現代美術館)
写真:フェルナンド・サンチェス・カスティーリョ《馬に捧げる建築》
日本スペイン交流400周年事業の一環として、スペインの90年代以降の作品にフォーカスしたカスティーリャ・イ・レオン現代美術館のコレクションから27作家の作品を紹介する展覧会です。
血=死を思わせる、ちょっとぎょっとするような赤色がにじみ出たタイトルデザインです。展覧会のテーマは森美術館のURLにもこのあしらいが入っているのが細かい。
メインビジュアルに選ばれたフェルナンド・サンチェス・カスティーリョ《馬に捧げる建築》の舞台はマドリード自治大学。スペイン・フランコ政権時に建てられたこの校舎の扉や通路は高く、学生蜂起時でも機動隊が馬上から制圧できる作りになっているそうです。かつての抑圧の歴史が垣間見える作品です。
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「ネオ・ダダ 新作展 2013-2014」(Gallery 58)
写真:小林正徳「第2回展案内状のための集団ポートレート」
1960年、吉村益信を中心に結成された前衛芸術グループ、ネオ・ダダ。メンバーである赤瀬川原平、篠原有司男、田中信太郎、吉野辰海の、2013年から2014年にかけての最新作を紹介する展覧会です。2020年には同ギャラリーで「ネオ・ダダの痕跡」も開催されました。
ネオ・ダダ展案内状の字体を踏襲したタイトルデザインが目をひきます。各メンバーの作品ではなく、集合ポートレートをとりあげているのが面白いです。
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「こども展 名画にみるこどもと画家の絆」(森アーツセンターギャラリー)
写真左:アンリ・ルソー「人形を抱く子ども」
写真右:ピエール=オーギュスト・ルノワール「ジュリー・マネの肖像、あるいは猫を抱く子ども」
パリ・オランジュリー美術館で開催され人気を博した展覧会、“Les enfants modèles”(「モデルとなった子どもたち」と「模範的な子どもたち」のダブルミーニング)を日本向けに再構成した展覧会です。2020年には似たような趣向で、三菱一号館美術館にて「画家が見たこども展」が開催されました。
二つ折りになっており、両面が表紙の扱いの展覧会チラシです。
こどもが書いた字のように、タイトルがちょっと傾いているのが面白いです。
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「超絶技巧!明治工芸の粋」(三井記念美術館)
写真左:正阿弥勝義《古瓦鳩香炉》
写真右:並河靖之《桜蝶図平皿》ほか
明治期の日本で海外輸出用として作られた工芸品のうち、「超絶技巧」といわれる精緻きわまりない作品に焦点をあてた展覧会です。このころメディアで盛んに取り上げられていた「超絶技巧」の魅力を余すところなく紹介した、充実した内容でした。
山口晃のコメント(画)が表に掲載されたペラのチラシ(左)、山口晃のコメント(画)が中面に掲載された二つ折りのチラシの2種類があります。
右のチラシは罫で細かく仕切られています。タイトルデザインがユニークで、「粋」の字は下に断ち切られています。
上の写真ではよく見えませんが、背景に集中線の模様があり、右のチラシではタイトルの「芸」の字のところに線が集まるようになっています。
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「公募団体ベストセレクション 美術 2014」(東京都美術館)
写真:榎本香菜子《MAZE-私も、うさぎ-》
毎年東京都美術館で開催されている公募団体との連携展です。
珍しい横型の展覧会チラシです。メインビジュアルに選ばれた榎本香菜子《MAZE-私も、うさぎ-》のイメージと合わせたのか、線を強調するデザインになっているのが面白く感じます。
「徒然草 美術で楽しむ古典文学」(サントリー美術館)
写真:海北友雪《徒然草絵巻》二十巻のうち巻一(部分)
サントリー美術館の所蔵品である海北友雪筆「徒然草絵巻」二十巻を中心に、屏風や絵本などの美術作例を通して、一度は読みたい、今こそ知りたい『徒然草』の名場面をたどる展覧会です。
海北友雪《徒然草絵巻》が七角形に切り取られているのが味わい深いです。ストンとしたタイトルデザインもあいまって、かわいらしさ、親しみやすさを感じます。
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「現代美術のハードコアはじつは世界の宝である」(東京国立近代美術館)
写真:マーク・クイン《ミニチュアのヴィーナス》
台湾資本の世界的電子機器メーカー、ヤゲオ・コーポレーションのピエール・チェン会長が四半世紀にわたり収集した現代美術コレクションを紹介する展覧会です。
これはまずタイトルが心惹かれますよね。ギラギラしたデザインが突き抜けています。高齢層はちょっと尻込みするかもしれませんが、若年層にはささるでしょう。
そしてメインビジュアルに選ばれたマーク・クイン《ミニチュアのヴィーナス》のインパクトよ。マーク・クインの同じようなコンセプトの彫像《神話(スフィンクス)》は東京国立近代美術館の前庭に展示されていました。
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次回は、2014年下半期の展覧会チラシ 私的ベスト10をご紹介します。
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