19世紀の西洋の挿絵、彩色版画のポストカードコレクションです。
J. J. グランヴィルの空想博物誌世界
(左)Grandville, J.J., タクシル・ドロール著「生きている花々」より, 1867年, 版画, 明治学院大学図書館
(右)Grandville, J.J., 挿絵本『花の幻想』(ブドウの樹)より, 19世紀, 版画
J. J. グランヴィルはフランス・ナンシー生まれ。舞台衣装のデザインからキャリアをスタートし、政治諷刺画を経て、挿絵制作を行うようになりました。植物や虫などを擬人化し、あたかも博物誌のように描く独特の世界観は同郷のエミール・ガレなどに影響を与えました。
左のポストカードは、2011年に東京都庭園美術館にて開催された「森と芸術」にて、右は同じく2011年に練馬区立美術館にて開催された「鹿島茂コレクション1 グランヴィル-19世紀フランス幻想版画展」にて購入しました。2011年は密かなグランヴィルイヤーだったのか。
実に楽しそうなかわいらしい絵ですが、同時に妖艶で病的な感じがします。右の『花の幻想』の方は金の箔押しが美しいポストカードで、高級感がある仕上がりになっています。
|
民衆版画 操り人形「プルチネッラ(道化)」
Unknown, 操り人形「プルチネッラ(道化)」, 19世紀, リトグラフに手彩色, 町田市立国際版画美術館
2011年に町田市立国際版画美術館にて開催された「素朴な美―フランスの民衆版画」にて購入したポストカードです。
日常のお祈りのための聖人像や、おもちゃなどの実用品など、庶民の日常生活のなかで親しまれた版画を「民衆版画」というそうです。
こちらの作品は、子どもが切り取って遊ぶマリオネットでしょう。道化の表情と、単純化された色合いが味わい深いです。
バラの習作
Unknown, Rose, 19世紀, 版画に手彩色, 町田市立国際版画美術館?
こちらはどこで購入したのか失念しました。植物図鑑の習作でしょうか、途中まで彩色されています。
控えめな色合いの可憐なバラです。私たちが普段よく見るバラではなく、原種バラかな。左下に描かれたハートの花びらもかわいらしい。
|
フローラの神殿
Thornton, Robert John(編)「フローラの神殿」, 1807年, 版画
(左)地上に花を撒くフローラ
(右)夜の女王
町田市立国際版画美術館で購入したポストカードです。
この「フローラの神殿」は史上最も美しい植物画集といわれています。単に植物を描いているだけでなく、植物の持つ神秘や妖艶さなど、物語性を感じさせる構図がすばらしい。澁澤龍彦もお気に入りの画集だったような記憶があります。
ロバート・ジョン・ソーントンは編者で、挿絵は花をフィリップ・ライナグル、背景をエイブラハム・ペザーらが担当しています。
|
次回は、19世紀ロシア・東欧のポストカードをご紹介します。
コメント