明治から昭和にかけて風刺画家、日本画家として活躍した北澤楽天(北沢楽天)のポストカードです。
さいたま市立漫画会館にて購入しました。
北澤楽天《東京パック 2巻2号 新内閣座役人の初御目見得》
北澤楽天《東京パック 2巻2号 新内閣座役人の初御目見得》, 1906年, さいたま市立漫画会館-北沢楽天顕彰会
『東京パック』は北澤楽天が主催し明治後半から大正初期にかけて発行された漫画雑誌です。なんと全ページカラーで、川端龍子なども画を描いていたとか。1冊手に入れて読んでみたいものです。
こちらは当時の内閣の顔ぶれ。山縣伊三郎、松田正久、原敬、斎藤実、寺内正毅、西園寺公望、阪谷芳郎、加藤高明、松岡康毅が描かれています。
加藤高明、写真も確認しましたが眼鏡がよく似合うイケおじ。激渋元マトリ部長の瀬戸晴海さんに似ているような。
寺内正毅はのちにビリケン人形にそっくりと評される特徴的なつり眉と細い目の持ち主なので、顔は上半分だけでもわかるからいいよねって感じで西園寺公望の頭に隠れています。(それとも、何か含みがあってのことなのかもしれません)
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北澤楽天《東京パック 2巻10号 大角力五月場所の大立物》
北澤楽天《東京パック 2巻10号 大角力五月場所の大立物》, 1906年, さいたま市立漫画会館-北沢楽天顕彰会
右上から時計回りに梅ヶ谷、国見山、太刀山、常陸山、荒岩、敷嶌(?)が描かれているらしいのですが相撲に詳しくない私はわかりません。。
軍配のなかに6人の顔だけが入っているというアイデアが面白いです。
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北澤楽天《時事漫画 379号 停電》
北澤楽天《時事漫画 379号 停電》, 1928年, さいたま市立漫画会館-北沢楽天顕彰会
へな子は部屋の趣味にあわないマクラメレース(ひもや糸などを結び合わせて幾何学的模様を作る手芸)のランプシェードを、お母さんのアドバイスにしたがい丁野さん(じゃがいもの煮っころがしのようなルックスのおっさん)に押し付けました。
そんなこともしらず丁野はプレゼントしてくれたと大喜び。部屋を飾り付けてごちそうを準備し、へな子と甘郎を自宅に招待します。しかしおりしも停電。せっかく飾ったマクラメレースは「真暗眼レース」と相成ってしまいました。
二人が帰ったとたんに復旧する電気。「電気屋はおれに恨みでもあるのか、それともワイロをやらぬためか?」とぼやく丁野でした……。
普通に面白いんですけど!!丁野の表情が笑えます。
丁野が準備する「ごちそう」のなかに「バナナ」が含まれているのが時代を感じます。昔は高級品だったんですね。
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北澤楽天《漫画と読物 507号 ミス・ニッポン》
北澤楽天《漫画と読物507号 ミス・ニッポン》, 1931年, さいたま市立漫画会館-北沢楽天顕彰会
この『ミス・ニッポン』とは、郡司次郎正によって書かれ、内田吐夢が映画化した1931年公開の日本映画『日本嬢(ミス・ニッポン)』のことなのでしょうか?調べてもよくわかりませんでした。
「私だっていまに太平洋横断をやって見せるわ」と勇ましい娘さん。ふっくらとした頬、もちっとした腕と手の描写が美しいです。
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北澤楽天《時事漫画 489号 晩年の福澤先生》
北澤楽天《時事漫画 489号 晩年の福澤先生》, 1931年, さいたま市立漫画会館-北沢楽天顕彰会
晩年の福沢諭吉は、ときおり時事新報社を散歩姿で訪れて、社員相手に何くれとなく訓えられたとのことです。ここにかかれているのは明治33年(1900年)ごろの時事新報社の様子。
福沢諭吉の偉大さに比例して、文字通り巨人に描かれているのが面白いです。
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次回は日本画家の切手の紹介をしようと思います。
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