【展覧会チラシ】2019年下半期 私的ベスト10

展覧会チラシ・目録

2019年下半期の展覧会チラシ蒐集状況

2019年下半期に集めた展覧会チラシは88枚です。以下は開催日付順で、番号は順位ではありません。

「日本の素朴絵 ーゆるい、かわいい、たのしい美術ー」(三井記念美術館)


写真:仙厓《蜆子和尚図》《曲馬図(博多津)》、《漂流記集》、中村芳中《千鳥図》、耳鳥斎《鎌倉三大記 佐々木高綱の図》《大黒と寿老人の相撲図》

ゆるく味わいのある表現で描かれた日本画(=素朴絵)について、さまざまな時代・形式のものを紹介する展覧会です。

かわいいタイトルデザインのまわりに、仙厓、中村芳中、耳鳥斎などが描いたゆるい奴らが配置されています。

上の画像ではわかりにくいですが、左下が少し切れていて、そこからちょろっと大津絵《外法の梯子剃り》が見えているのが面白いです!

三井記念美術館としては珍しいデザインのように感じます。

「ジュリアン・オピー」(東京オペラシティアートギャラリー)


写真:ジュリアン・オピー《Walking in New York 1》

イギリスを代表するアーティストの一人、ジュリアン・オピーの日本では11年ぶりに開催される大型個展です。

メインビジュアルにはすばらしい発色の《Walking in New York 1》が選ばれています。よく見ると、A4より数mm細い判型になっており、こだわりを感じます。

現在でも閲覧できる公式ウェブサイトでは、展覧会チラシその他すべての印刷物を手掛けたデザイナーのコメントを読むことができて貴重です。

「イメージを読む 写真の時間」(東京都写真美術館)


写真:米田知子《安部公房の眼鏡―『箱男』の原稿を見る》

東京都写真美術館が毎年実施しているコレクション展です。この年のテーマは「イメージを読む」で、作品という視覚的なイメージとその読み解き方を考えるという趣向でした。

白の背景に蛍光オレンジのアクセントが効いています。曲線は巡らせる思いや読み解きの経路をあらわしているのでしょうか。

メインビジュアルに選ばれている米田知子の《安部公房の眼鏡―『箱男』の原稿を見る》がとても印象的です。

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「没後90年記念 岸田劉生」(東京ステーションギャラリー)


写真:岸田劉生《麗子肖像(麗子五歳之像)》

日本近代絵画史上に輝く天才画家・岸田劉生の道標となる作品を選び、150点以上の作品を基本的に制作年代順に展示してその功績を称える大回顧展です。

かすれ感のあるセリフが強いタイトルデザインが印象的です。

ちょっと暗めの色調の作品が多く、メインビジュアルに選ばれている《麗子肖像(麗子五歳之像)》も同様ですが、華やかなピンクのあしらいをいれることでポップさを出しています

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「カルティエ、時の結晶」(国立新美術館)


写真:カルティエ《リング》

フランスの高級宝飾ブランド・カルティエについて、1970年代以降の現代作品に焦点を当て、その創作活動における革新性、現代性、独自性を、メゾンが築き上げてきた創作の歴史を背景に表現する展覧会です。

宝飾品の展覧会では、目玉となる複数の作品をちりばめる展覧会チラシが多いように感じますが、ここでは《リング》の接写となっており、パッと見では何の展覧会なのかわかりません。しかしよく見ると、美しいダイアモンドの輝きに目を奪われます。にくい演出ですね。

「建国300年 ヨーロッパの宝石箱 リヒテンシュタイン侯爵家の至宝」(Bunkamuraザ・ミュージアム)


写真:フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラー《磁器の花瓶の花、燭台、銀器》

オーストリアとスイスに挟まれた独立国家の君主であるリヒテンシュタイン侯爵家が秘蔵する油彩画、陶磁器などのコレクションを一挙公開する展覧会です。

タイトルに「宝石箱」とあるように、タイトルデザインにはきらめきのあしらいが入っています。美しい青みがかったピンク色のテーマカラーは、メインビジュアルに選ばれている《磁器の花瓶の花、燭台、銀器》のバラの色からとられているのでしょうか。

「内藤コレクション展 ゴシック写本の小宇宙」(国立西洋美術館)


写真:《セント・オールバンス大修道院由来のラテン語聖書零葉:詩篇37, 38(イニシアルD, D/ダヴィデ王;枠装飾、鳥を伴う欄外装飾)》

中毒学を専門する学者/医師として知られる内藤裕史氏の中世の彩飾写本コレクション展です。これが1回目で、その後2回、同様に国立西洋美術館の版画素描展示室にて開催されました。詳しくは【ポストカード】コレクション④ 11-14世紀 西洋をご覧ください。

中世の彩飾写本は主に獣皮紙に描かれているそうですが、それをイメージしてか、紙もこだわったものが選ばれているようです。
印刷はとても精緻で、裏側に描かれた鳥たちも透けて見えます。
彩飾写本の世界観をくずさない、上品なデザインにまとまっています。

「フィリップ・パレーノ展 オブジェが語りはじめると」(ワタリウム美術館)


写真:フィリップ・パレーノ《リアリティー・パークの雪だるま》

現代アートの重要人物の一人、フィリップ・パレーノの日本初となる大掛かりな展覧会です。
パレーノの代表作である白熱光が点滅する「マーキー」や、天井に張りつく風船「吹き出し」のほか、1995年にワタリウム美術館と伝説のキュレーター、ヤン・フートがコラボレートした展覧会「水の波紋展」で制作した氷の「雪だるま」が約25年ぶりに再登場しました。

展覧会タイトルが、複数の西暦が重ねられた形になっているのが面白いです。今回の展示が1994年から2006年にかけて制作された作品-オブジェのプレゼンテーション、再構成になっているからなのだとか。

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「人、神、自然-ザ・アール・サーニ・コレクションの名品が語る古代世界-」(東京国立博物館)


写真:王像頭部(エジプト)ほか

カタール国の王族であるシェイク・ハマド・ビン・アブドラ・アール・サーニ殿下が収集したザ・アール・サーニ・コレクションの中から、世界各地の古代文化が生み出した工芸品を「人」「神」「自然」の3つのテーマで展示する展覧会です。

展覧会タイトルのまわりを、さまざまな顔(王、神、あるいは化け物)が取り囲んでいるという構図が面白いです。
右下のナイジェリアの《男性像頭部》の表情がいいですね!!スティーヴ・ブシェミのような。

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「奈良原一高のスペイン 約束の旅」(世田谷美術館)


写真:奈良原一高《フィエスタ セビーリャまたはマラガ》〈スペイン 偉大なる午後〉より

人間が生きる条件とは何かを思索しながら、戦後日本の新しい写真表現を切りひらいた奈良原一高の1960年代のシリーズ〈スペイン 偉大なる午後〉に焦点をあてた展覧会です。

黒地に蛍光オレンジのテキストがよく映え、スペインの祭りの熱気が伝わってくるようです。

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次回は、2020年上半期の展覧会チラシ 私的ベスト10をご紹介します。

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