ナビ派の画家たちの作品のポストカードをピックアップしてみました。
ナビ派の装飾的かつ平面の構図は、ポストカードと相性がよいようで、ナビ派の展覧会ではミュージアムショップでのポストカードの売れ行きがよいように感じます。
ピエール・ボナール《黄昏(クロッケーの試合)》
ピエール・ボナール《黄昏(クロッケーの試合)》, 1892年, 油彩, オルセー美術館
2018年に国立新美術館にて開催された「ピエール・ボナール」で購入したポストカードです。
男女(ボナールの身内とのこと)が田園でクロッケーに興じています。後ろでは若い女性たちが踊っているようです。
いかにもナビ派らしい装飾的で織物のような画です。
中央の女性や、左手前の男性はチェックの柄の洋服を着ていますが、本来ならば身体のラインにあわせてうねっているはずのチェックが貼り付けたかのようにのぺっと入っています。
人物と芝生、樹木は同列で描かれており、それが心地よい調和をもたらしています。
季節は夏でしょうか。夏の陽がまぶしすぎて色が平坦に感じることってありませんか?明るい色はほとんどないのに夏の雰囲気を感じさせる画です。
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モーリス・ドニ《天国》
モーリス・ドニ《天国》, 1912年, 油彩, オルセー美術館
2006年に東京都美術館ほか各地を巡回した「オルセー美術館展 19世紀芸術家たちの楽園」にて購入したポストカードです。
色鮮やかな花々が咲き誇る庭で、さまざまな人々が踊ったり思い思いに楽しんでいるようです。左奥には海がみえます。
一見すると子どもたちをまじえた家族ぐるみのパーティーかのようにみえますが、よくみると5人ほどには背中に羽がはえています。
日常を描いているようにみえて、実は幻想的な風景を描いているのでした。
リズム感よく配置された色彩、安定した構図で、眺めていると穏やかに気持ちになってきます。
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モーリス・ブーテ・ド・モンヴェル《ブレのベルナールとロジェ》
モーリス・ブーテ・ド・モンヴェル《ブレのベルナールとロジェ》, 1883年, 油彩, オルセー美術館
2020年に三菱一号館美術館にて開催された「開館10周年記念 画家が見たこども展―ゴッホ、ボナール、ヴュイヤール、ドニ、ヴァロットン」にて購入したポストカードです。
モーリス・ブーテ・ド・モンヴェルはイラストレーター、挿絵画家としても活躍しました。特に児童向けの書籍や雑誌の挿絵を多く手掛けたようです。
この画で描いているのは二人の息子です(右の子は一見女の子のようにみえますが男の子)。フランス中部のブレの草原にすっくと立つ2人からは、純粋無垢さと同時に、子ども特有の頑固さみたいなものも感じさせます。
右の子はひょろっとした枝をもっています。子どもの頃って、公園や林にいくとお気に入りの木の枝とか拾って持ち歩いたりしましたよね。そんな感覚を思い出しました。
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アリスティード・マイヨール《女性の横顔》
アリスティード・マイヨール《女性の横顔》, 1896年, 油彩, オルセー美術館
2017年に三菱一号館美術館で開催された「オルセーのナビ派展:美の預言者たち ―ささやきとざわめき」にて購入したポストカードです。
おしゃれな画ですねえ。ファッション雑誌の写真みたい。
花飾りがついた帽子をかぶった伏し目がちの若い女性です。屋外のようですが、背景は極端に簡略化されています。よくみると女性の周りの筆跡が円を描いたようになっており、一種神秘的なものさえ感じます。
髪をまとめており、胸が平坦なので中性的な印象も与えています。
アリスティード・マイヨールは彫刻家としての活動が知られていますが、この画を描いた35歳ごろはまだ絵画とタピスリー制作を主活動にしていたようです。
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次回も引き続きナビ派のポストカードをご紹介します。
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