台湾旅行で入手したポストカードを紹介します。主に故宮博物院と台湾市美術館のものです。
郎世寧(Giuseppe Castiglione)「百駿圖」
郎世寧(Giuseppe Castiglione)「百駿圖」, 1728, 絹本, 故宮博物院
こちらの絵はジュゼッペ・カスティリオーネというイタリア人が描いたものです。
1688年にミラノで生まれたカスティリオーネはイエズス会宣教師として清朝の中国に渡りました。
宮廷画家として重んじられた彼が、雍正皇帝の50歳の誕生日のために描いたのがこの「百駿図」です。実際は長さ8m近くある絵巻物で、このポストカードは中央部分を切り取っています。放牧された馬が各自思い思いの行動をとっていて、馬の毛色もバラエティに富んでおり、楽しい絵です。
中央左の、こちらをくるりと振り返る豹紋の馬がとくに愛らしいですね。ただ、他の馬は複数頭でからんでいるのに、こいつだけぼっちです。何か込められた意味があるのでしょうか。
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陳進「悠閑」「化粧」
左:陳進「悠閑」, 1935, 絹本, 台北市立美術館
右:陳進「化粧」, 1936, 絹本, 個人蔵
陳進(チェン・ジン)は20世紀の台湾美術を代表する女性画家で、日本に留学し日本画を学びました。2006年には渋谷区立松濤美術館、兵庫県立美術館等にて生誕100年記念展が開催され、多くの人の知るところになりました。
「悠閑(Leisurely)」は、いかにも上流階級の優美な女性を繊細に描き出しています。イヤリング、腕輪、指輪はおそらくヒスイですが、チャイナドレスの青緑色とよくあっていてすてきです。
「化粧(Applying Make-up)」は、1936年に日本の春の帝展に入選した作品。画像ではわかりにくいのですが、ポストカードは偏光パール加工?が施された紙が用いられており、高級感があります。
林玉山「On the Way Home」
林玉山「On the Way Home」, 1944 , 絹本?, 台北市立美術館
林玉山(リン・ユイシャン)は台湾南部出身の画家。若くして台展に入選を果たし、同世代の郭雪湖、陳進とともに「台展三少年」と呼ばれるようになりました。
一日の仕事を終えたらしい農婦と牛を、あたたかいまなざしで表現しています。一日の労働を終えて疲れているのでしょうか、牛の表情が険しくなっています。牛の耳毛やしっぽの描写も巧みです。
農婦は青のピタッとした作業着を着ていますが、濃紺の布地はどうなっているのか?腕を見ると、青の作業着の下に濃紺の布地が見えますが、下半身をみるとそうでもないようです。日本の当時の農作業着との違いを調べてみるのも面白いかもしれません。
(中華民国(台湾)文化部サイトを参考にさせていただきました)
次のページでは、11-14世紀の西洋のポストカードをご紹介します。
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