【展覧会チラシ】2013年下半期 私的ベスト10

展覧会チラシ・目録

2013年下半期の展覧会チラシ蒐集状況

2013年下半期に集めた展覧会チラシは99枚です。以下は開催日付順で、番号は順位ではありません。

「谷文晁」(サントリー美術館)


写真:谷文晁「ファン・ロイエン筆花鳥図模写」「石山寺縁起絵巻」「楼閣山水図」
江戸後期に活躍した関東南画の大成者・谷文晁の生誕250周年記念展です。

タイトルデザインが面白く、下部では「文」の字が4点の印象が異なる作品と組み合わさって、ポップなイメージになっています。

「和様の書」(東京国立博物館)

「和様の書」とは、中国からもたらされた書法を日本の文化の中で独自に発展させた、日本風の書のこと。三跡と呼ばれる小野道風・藤原佐理・藤原行成をはじめ日本を代表する能書の作品や四大手鑑など至高の名筆が一堂に集まる展覧会です。

左が早い時期に配布された速報チラシ、右が一般チラシです。
速報チラシは片観音開きになり、開くと三跡の能書をじっくりと堪能できる仕掛けになっています。

通常チラシのほうは、かすれ感のある美しいタイトルデザインになっています。よく見ると、「の」だけ書体が異なり、この「の」は豊臣秀吉の仮名消息(重要文化財)からとられているとのことです。

本阿弥光悦の船橋蒔絵硯箱もちょこんとワンポイントになっていてかわいらしいです。

「ルーヴル美術館展—地中海 四千年のものがたり」(東京都美術館)


写真:《アルテミス:信奉者たちから贈られたマントを留める狩りの女神》

ルーヴル美術館が所蔵する、地中海文化に関連する彫刻、工芸、絵画などの文化財を紹介する展覧会です。白眉は大理石の彫像《アルテミス:信奉者たちから贈られたマントを留める狩りの女神》、通称「ギャビーのディアナ」で、日本初公開となりました。

明るい水色の背景に「ギャビーのディアナ」の清らかさが強調されています。流れるようなドレープの表現が美しい本作ですが、この展覧会チラシでは、優しく穏やかな表情と、生き生きとした髪の毛の流れがわかるように切り取られています。

「LOUVRE」の「O」の部分には地中海が、「V」の部分にルーヴル・ピラミッドがあしらわれています。

「セカイがハンテンし、テイク」(川崎市市民ミュージアム)


「現代のコミュニケーションのありようを考える」をテーマに、国内外8組の若手作家を紹介する展覧会です。

うちのプリンターの性能の限界で、上の写真では全くわからないのですが、蛍光オレンジがとても美しい展覧会チラシです。

PCソフト上の操作をモチーフにしたらしいデザインで、展覧会タイトルの下はグリッド線のみになっており、展覧会チラシを手に取った人が自由に塗りつぶせるようになっています。右下にデザイン例があげられています。あまりない趣向で面白いです。

紙もこだわっており、楽しい展覧会チラシです。

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「福田美蘭」(東京都美術館)


写真:福田美蘭《アカンサス》

ユーモラスな視点で過去の名作を再解釈したり、多彩なアイデアで新たな絵画の可能性を追求する現代作家・福田美蘭の90年代以降の代表的な作品と、この展覧会のために製作された新作を紹介するものです。

表紙には、東京藝術大学の正門(?)の前に立つ11歳の作家の写真に装飾的なアカンサスをあしらった作品が使われています。アカンサスの緑を引き立たせる朱色のテキストがとてもよく映えており、展覧会タイトルは断ち切りでインパクトを強めています。

「明治のこころ モースが見た庶民の暮らし」(江戸東京博物館)

江戸東京博物館の開館20周年記念特別展です。大森貝塚の発見者として知られるエドワード・モースの日本コレクションのなかから選び抜かれた320点の生活道具や陶器、写真、モース自身のスケッチなどを紹介し、明治の日常にせまる展覧会です。

見開きのパンフレットになっており、両面とも表紙の扱いのようです。片面には立体のコレクションが、もう片面には写真がきちんと並べられ、白い背景にヴィヴィッドなオレンジのテキストが印象的です。

「六本木クロッシング2013」(森美術館)


日本のアートシーンを総覧する3年に一度の「六本木クロッシング」の4回目です。東日本大震災以降高まる社会的な意識を反映しつつ、現在の日本の現代アートを、歴史やグローバルな視点も参照しながら問いかけます。

目玉が中心に置かれ、周りをアーティスト名やさまざまな情報が取り囲んでいます。動画ではこの目玉から七色のビームが出たりします。ちょっと電波系ぽいですが、本展のテーマである「アウト・オブ・ダウト」―現代の日本社会やアートをあらためて問い直す視点が示唆されているのでしょう。

「ターナー」(東京都美術館)

写真左:J. M. W. ターナー「スピットヘッド:ポーツマス港に入る拿捕された二隻のデンマーク船」
写真右:J. M. W. ターナー「レグルス」

英国最高の画家と称されるウィリアム・ターナーの展覧会です。テート美術館から、油彩画30点および水彩画、スケッチブックなど計約110点が紹介されました。

展覧会チラシが2種類あり、左は早い時期に配布された速報チラシ、右が一般チラシです。

格調高いタイトルデザインが小さめに入り、ターナーの作品の荘厳さを引き立てるようになっています。

一般チラシの方は二つ折りで、「TURNER」のタイトルの半分くらいのところでめくることができ、23歳、33歳、・・・62歳とターナーの代表作を8点にまとめて紹介しています。

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「生誕100年!植田正治のつくりかた」(東京ステーションギャラリー)


写真:植田正治《小狐登場》

故郷である山陰地方を拠点に、平面的に人物を配置した独特の演出写真で高い評価を得ている植田正治の展覧会です。2013年は生誕100年にあたり、本展のほかさまざまな展覧会やイベントが企画されました。

代表作のひとつ《小狐登場》をメインビジュアルに、余白を大きくとって引き立たせることで、前衛的で独特な世界観が感じ取れるようになっています。ざらつきのある、ややベージュがかった紙もよい味を出しています。

「天上の舞 飛天の美」(サントリー美術館)


写真:平等院鳳凰堂《雲中供養菩薩像》《阿弥陀如来坐像光背飛天》

地域・時代を超えて展開した飛天の姿を、彫刻・絵画・工芸の作品によってたどる展覧会です。京都・平等院鳳凰堂の国宝《雲中供養菩薩像》の特別公開、国宝《阿弥陀如来坐像光背飛天》の寺外初公開が話題になりました。

断ち切りになったユニークなタイトルデザインに、平等院鳳凰堂の国宝たちが散らされており、まさに飛天しているようです。裏側は両観音開きで「扉が開かれる」ことを連想し、寺外初公開となる国宝《阿弥陀如来坐像光背飛天》への期待感が高まります。

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次回は、2014年上半期の展覧会チラシ 私的ベスト10をご紹介します。

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