【展覧会チラシ】2012年上半期 私的ベスト10

展覧会チラシ・目録

2012年上半期の展覧会チラシ蒐集状況

2012年上半期に集めた展覧会チラシは93枚です。以下は開催日付順で、番号は順位ではありません。

「三代山田常山展 -人間国宝、その陶芸と心」(出光美術館)


常滑焼(急須)の作陶により、人間国宝に認定された三代山田常山の展覧会です。

デフォルメされた「山田常山」の字の上に代表作が並んでいてフレンドリーな印象にまとまっています。

「今和次郎 採集講義」(パナソニック 汐留ミュージアム(現パナソニック 汐留美術館)


写真:今和次郎「東京銀座街風俗記録統計図索引」

「考現学」(東京の人々の生活調査)の創始者として知られる建築家・今和次郎の回顧展です。

まず、このスケッチそのものが面白い。当時の男女別の和装・洋装の割合と細部の紹介をしています。かわいい字ですね。

背景にオレンジ、テキスト部分に青をひき、にぎやかで楽しい雰囲気を出しています。

「イ・ブル展:私からあなたへ、私たちだけに」(森美術館)


写真:イ・ブル《出現》

アジアを代表する韓国女性アーティスト、イ・ブルの初の大規模個展です。

和文は横、英文は縦に配置して、背景は白とすることですっきりと作品をきわだたせています。

「メグロアドレス—都会に生きる作家」(目黒区美術館)


写真:南川史門

目黒にゆかりのある若いアーティストを紹介する展覧会です。

(うちのスキャナーの機能の限界で、上の写真では見えませんが)、蛍光オレンジのタイトルが、作品のトーンとあいまってとてもよく映えています。背景にうっすらと「MEGURO ADDRESSES」と入り、バランスをとっています。

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「VOCA展2012 現代美術の展望-新しい平面の作家たち」(上野の森美術館)


1994年に始まったVOCA展の19回目の展覧会チラシです。
全国の学芸員、ジャーナリスト、研究者などに40才以下の若手作家の推薦を依頼し、その作家が平面作品の新作を出品する方式で、全国各地から未知の優れた才能を紹介していくという性質上、展示作品の傾向はバラバラで、よって展覧会チラシも毎年抽象的なグラフィックになっています。

VOCA展には単色のグラフィックがよく使われているのですが、この年のVOCA展は珍しくモノトーンで、作家たちの決意表明といった印象にまとまっています。

「KATAGAMI Style」(三菱一号館美術館)


型紙とは、絹や綿に模様を染め付けるために使われた道具のことで、菊花・千鳥・流水・縞など様々なデザインがあります。
型紙がアーツ・アンド・クラフツ運動をはじめとする美術・デザイン改革運動期の欧米で果たしてきた役割や、現在の動きなどを紹介する展覧会です。

雑誌の表紙のようなデザインで、テキスト色にはシアンとマゼンタを効果的に使用して型紙を引き立たせています。紙もこだわっているようです。

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「テマヒマ展 〈東北の食と住〉」(21_21 Design Sight)


東北地方のさまざまなものづくりを紹介する展覧会です。

行儀よく並べられた特産品たちがかわいく、まさに「テマヒマ」かけてつくられたものということが連想できます。

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「トーマス・デマンド」(東京都現代美術館)


写真:トーマス・デマンド《浴室》

印刷がすばらしい展覧会チラシです。うちのスキャナーの機能の限界で、上の写真ではよくわかりませんが、銀の背景色が恐ろしく美しく、作品を引き立たせています。
元の作品が精緻に描かれているということもあるでしょうが、汚れたお湯やゆがんだバスマットなど、印刷の仕上がりが見事というほかありません。ぜひ現物を手に取ってみていただきたい展覧会チラシです。

「アラブ・エクスプレス展:アラブ美術の今を知る」(森美術館)


急激に変化を遂げるアラブの現代アートを紹介する展覧会です。

ステッチのようなイメージで、テキスト情報が詰め込まれた楽しいデザインです。ガチャガチャとした感じが、いままさに熱を帯びるアラブの現代アートシーンを表現しています。

「日本の美・発見VII 祭 MATSURI ―遊楽・祭礼・名所―」(出光美術館)


写真:江戸名所図屏風(部分)

江戸時代に盛行した祭礼図や遊楽図を、群衆の姿はもちろん、絵の舞台となった〈場〉にも注目して解釈した展覧会です。

江戸名所図屏風の風景が右三つ巴の形にくりぬかれ、祭りの様子を垣間見るようなイメージになっています。「祭」の字も同じあしらいがあり面白いです。

次回は、2012年下半期の展覧会チラシ 私的ベスト10をご紹介します。

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