【展覧会チラシ】2011年上半期 私的ベスト10

展覧会チラシ・目録

2011年上半期の展覧会チラシ蒐集状況

2011年上半期に集めた展覧会チラシは71枚です。以下は開催日付順で、番号は順位ではありません。

「『日本画』の前衛」(東京国立近代美術館)


写真:船田玉樹「花の夕」(部分)

1930年代後半以降の「日本画」の「前衛」活動に焦点をあてた展覧会です。

展覧会チラシで取り上げられているのは船田玉樹の「花の夕」(四曲一隻の屏風の一部)。
少しずつ異なる烈しい赤の花をたたえた樹を存在感たっぷりに描いています。
形は桃の木のようですが、花の色から空想の樹であることが考えられます。丸く見えるのは満月か、なにかの灯か。
こうしてクロースアップでみると、また違った印象を受ける絵です。

「マリー=アントワネットの画家 ヴィジェ・ルブラン」(三菱一号館美術館)


写真:ヴィジェ・ルブラン「フランス王妃マリー=アントワネット」

少女趣味全開!パステルピンクのストライプを背景に、パールをあしらった、とにかくかわいらしい展覧会チラシです。

雑誌風のパンフもつくられ、気合が入っていることがわかります。もちろん「ベルサイユのばら」のアピールも忘れません。

「生誕100年 岡本太郎」(東京国立近代美術館)


写真:岡本太郎「太陽の塔」

岡本太郎生誕100年を記念した大回顧展です。

太陽の塔のパターンを背景に敷き、岡本太郎本人を下半分でのぞいているかのように配置。まさに「何だこれは!」と思わせる仕上がりになっています。

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「レンブラント 光の探求/闇の誘惑」(国立西洋美術館)


写真左:レンブラント・ファン・レイン「東洋風の衣装をまとう自画像」
写真右:レンブラント・ファン・レイン「石の手摺りにもたれる自画像」

光と影の巨匠レンブラントを、「黒い版画」「淡い色の紙」「キアロスクーロ」の3つをキーワードに構成した展覧会です。

二つ折りで両面が表面扱いになった展覧会チラシで、片側が光、もう片側が闇になっています。コピーも立っていますし、あえて作品に展覧会タイトルを重ねているバランスも面白いです。

「ベッティナ ランス写真展 MADE IN PARADISE 女神たちの楽園 セレブたちの美しき幻影と気品」(東京都写真美術館)


写真:ベッティナ ランス「道端ジェシカ ポートレート」

さまざまなジャンルで一時代を築いた女性たちの魅力を引き出す写真家ベッティナ ランスの個展です。

被写体である道端ジェシカのアイライン、下着の黒いライン、猫のアイラインと「ライン」が強調された写真という印象を受けます。それと連動して、展覧会チラシも縁取りを付けているのでしょうか。

「ホンマタカシ ニュー・ドキュメンタリー」(東京オペラシティアートギャラリー)


写真:ホンマタカシ《Tokyo and My Daughter》より

現代写真家ホンマタカシの、美術館における初の個展です。

箱組みのなかに余白少なめでテキストを配置してアンダーラインをつけるこの見せ方は、この頃流行していたといっていいんでしょうか。対象と独特な距離感があるホンマタカシの写真の雰囲気によくあっています

「五百羅漢-増上寺秘蔵の仏画 幕末の絵師 狩野一信」(江戸東京博物館)


写真左:狩野一信「五百羅漢」+タナカカツキ「オッス!トン子ちゃん」

港区・増上寺に秘蔵される「五百羅漢図」全100幅を、寺外ではじめて一挙公開する展覧会です。

左の展覧会チラシでは、入場者の間口を広げるべく、漫画家タナカカツキ「オッス!トン子ちゃん」が漫画のような形式で「五百羅漢図」の内容を紹介するチラシになっています。これまであまり見られなかった手法で、当時は斬新に感じました。銀箔もとてもきれいで、コストがかかってそうです。

本展覧会は東日本大震災の影響で開催期間がずれ、複数バージョンのチラシが存在します。

「花の画家 ルドゥーテ『美花選』」(Bunkamuraザ・ミュージアム)


写真左:ピエール=ジョセフ・ルドゥーテ「チューリップとバラ」
写真右:ピエール=ジョセフ・ルドゥーテ《美花選》より花選バラ、アネモネ、テッセン

バラの宮廷画家と称されたピエール=ジョセフ・ルドゥーテの展覧会で、Bunkamuraザ・ミュージアムで取り上げるのは3回目とのことです。人気があるんですね。

左はおそらく早い時期に配布されたB5の展覧会チラシで、この時点では展覧会名称が単に「花の画家 ルドゥーテ」となっています。

ルドゥーテの繊細なボタニカルアートを引き立てるパステルピンクがかわいらしく、筆記体で書かれたようなタイトルも効いています。

「名和晃平 シンセシス」(東京都現代美術館)


写真:名和晃平「PixCell-Elk#2」

セル(細胞・粒)という概念をもとに、先鋭的な作品や空間表現を展開する名和晃平の個展です。

PP加工を施した紙を用いて、PixCellシリーズの質感の再現を図っています。ガラス/アクリルの球体への映り込みも計算して写真を撮影しているようです。

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「もてなす悦び」(三菱一号館美術館)


英国や米国で創り出されたジャポニスム様式の陶磁器や銀器、ガラス作品や服飾品を紹介する展覧会です。

タイトルが上ぎりぎりでちょっと文字が切れているところが面白いですね。等間隔でおかれた陶磁器や銀器、ガラス作品、服飾品がちんまりとしていて可憐です。

次回は、2011年下半期の展覧会チラシ 私的ベスト10をご紹介します。

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