通しで読むのはとってもしんどいよ!
疲れた・・・こんなに細かくあらすじを書く必要あったかな。
この本はとにかく読みにくいんですよー!なぜか横書きの体裁で、意味が分からない2色刷り(無駄にコストがかかるだけじゃねえ?)。
文章のプロが書いたわけじゃないんで、やたらわかりにくく主観的でだらだらしている。小見出しもないし、文章中にしか年代の記載がないので、今自分がどこらへんを読んでいるかわからなくなってきてしまうんですね。
しかし同時に、明らかにパメラ自身の手で書かれたものだとも確信できます。ゴーストライターの手は借りていないでしょう。
読みにくいとはいえ、しっかりと記録を残していたこと自体がすごいと思います。学生時代に始めた日記を書き続けるように勧めたのはフランク・ザッパらしい。ザッパに感謝ですね。
気取らないあけっぴろげなパメラのキャラクターの魅力
読み進めていくと、気取らないあけっぴろげなパメラのキャラクターにだんだん愛着がわいてきます。貧乳コンプレックスとか、若いグルーピーにブーブーいうとことか。
ジミー・ペイジにボロボロにされた経緯は、トラウマだと思いますが包み隠さず記したその態度は評価に値すると思います。
とはいえ、肉体関係があったかなかったか、あえてあいまいにしているところも多々あるようですので、私がまとめたあらすじも、間違っているところがあるかもしれません。
俳優のマイケル・リチャーズとも関係があったようですが、私が見落としたのか、あえて書かれていないのか。
グルーピーの意外と厳しい懐事情
この本を読むまで私は、グルーピーというのはミュージシャンにまとまったお手当をもらっているものだと思っていました。
しかし実際にはそんなことはなく、パメラは普段はバーで水商売のようなバイトをしたり、レジ係として働いたりしています。
途中からカウボーイシャツを縫って売るお小遣い稼ぎをはじめますが、それとて生計を立てられるほどの稼ぎではありませんでした。
もちろん、ミュージシャンと騒いでいるときは、高級ホテルのスイートルームに泊まって、おいしいものをたっぷり食べて飲んで・・・と贅沢ができるのでしょうが、普段の生活はだいぶ慎ましくしていたようです。
実家を出たパメラは、自分の部屋がもちたいといいつつも女友達とのシェアハウスを続けます。一人暮らしをしなかったのは、家賃が負担になるからなのでしょう。
第1章のあらすじ紹介で「大都市ロサンゼルスに生まれ育ち、いつでも実家に帰れるパメラは恵まれている」と書きましたが、読み終えてグルーピーの懐事情がわかると、ますますそのように感じます。
グルーピーの光と影
グルーピーの命は儚いものです。第9章でかかれているように、20代中盤にさしかかるともう「おばあちゃん」と言われてしまいます。次々と若いグルーピーが生まれ、ジミー・ペイジのように13歳の子と関係する不届き者も・・・(何度もいいますが、マジで信じられん)。
しかし、グルーピーが若さと美しさを与え続ける、一方的な搾取関係というわけでもないのです。グルーピーは基本ミーハーで、その時その時で才能と勢いがあるミュージシャンにひかれていくわけですから、時代からずれたミュージシャンはあっけなく見放されてしまいます。
こうして書くと殺伐とした男女の世界のように見えますが、パメラの回想からは、意外と牧歌的な関係も見えてきます。
(インターネットがない時代とはいえ)手紙をマメにやり取りしたり、住む場所に困っているとあればルームメイトを紹介してあげたり、仕事を融通したり。ヒッピー文化特有の助け合い精神のようなものがそこにはあるようです。
物足りなかった描写
いろいろと面白い本書ですが、とはいえ「もうちょっと触れてほしかった」という点がないわけではありません。私は主に以下4点が気になりました。
①セクシャルな描写
帯で「セクシャルな回想録」と煽っていますが、それほど直接的な描写はありません。
それを期待して本書を読むとがっかりすると思います。
②乱痴気騒ぎ描写
60-70年代の(一部の)ミュージシャンの乱行ぶりは伝説となっています。読者もそれを期待して本書を手に取ると思いますが、意外と具体的な描写は少ないです。
ホテルの部屋をめちゃくちゃにするとか、すごいごちそうがでてきたとか、買い物しまくったとか、そういう話はほとんどないです。ジミー・ペイジとキース・ムーンのエピソードで若干触れられてはいますが。
③フランク・ザッパとの関係
GTO’sのメンバーとしてパメラをとりたててくれたフランク・ザッパ、子守のバイトを依頼するなどしてパメラを経済的にも精神的にも支えてくれた妻ゲイル・ザッパ。
パメラは大恩人のザッパ夫妻、特に妻ゲイルにかなり忖度して本書のトーンを抑えているように見えます。その結果、フランク・ザッパとのセクシャルな関係がかなりぼんやりとしてしまいました。
④音楽性の深堀
パメラはミュージシャンが名盤を産む瞬間に何度も立ち会いますが、名盤の「どういった点が画期的だったのか」「何に影響されたか・影響を与えたか」などの記述はほとんどありません。
パメラとて、見境なくミュージシャンに手を出しまくっているわけではなく、いくつかのライン(カントリー・ロック、サイケデリック・ロック)がおぼろげながら見えてきます。なぜ自分がそういった音楽に惹かれるのかを、分析できれば面白かっただろうと思います。
パメラはグルーピーであって音楽評論家ではないので、これは高望みしすぎかもしれませんが。
グルーピー時代のパメラの「最愛の人」は誰?
果たしてパメラが結婚前、本当に好きだった男性とは誰なのか。エピローグではドン・ジョンソンだと書かれていますが、私はクリス・ヒルマンだと思います。途中とぎれとぎれですが、一番長く関係が続いていましたしね。
音楽好きや60-70年代文化が好きな方は買った方がいい
本書の途中で挟まれるミュージシャンの写真は本当に貴重なものです。たまーに、Getty Imagesとかで見かけるそこそこ有名な写真もあり、元はこの本だったのかと気づいたり。
60-70年代文化を知ることができる、一級の資料だと思います。
絶版ですが、古書は相場2000円~3000円くらいですので、見つけたら購入されることをおすすめします。
続編となる『Take Another Little Piece of My Heart: A Groupie Grows Up』(1993年)は日本語版が出ていないのが残念。英語で読むのはしんどすぎる。
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次のページでは、映画『あの頃ペニー・レインと』との関係や、フランク・ザッパの妻ゲイル・ザッパについて気づいたことをまとめようと思います。
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