私の切手コレクションのなかから、お気に入りのものを紹介します。
前回に引き続き、絵画作品を題材にした切手で、ポーランド人画家の作品です。おそらくポーランドで購入したものです。
- Olga Boznańska(オルガ・ボズナンスカ)「菊の花を持つ少女」(1971年)
- Witold Pruszkowski(ヴィトルド・プリュシュコフスキ)「若い女性の肖像(ステファニア・フェドロヴィチワの肖像?)」(1971年)
- Tytus Czyżewski(タイタス・チゼフスキー)「本を読む女性」(1971年)
- Józef Pankiewicz(ユゼフ・パンキエヴィッチ)「赤いドレスの少女」(1971年)
- Leon Chwistek(レオン・チュイステック)「ヌード」(1971年)
- Józef Mehoffer(ユゼフ・メホフェル)「奇妙な庭」(?)(1971年)
- Zbigniew Pronaszko(ズビグニェフ・プロナシュコ)「白い帽子をかぶった画家の妻」(1971年)
- Wojciech Weiss(ヴォイチェフ・ヴァイス)「ヌード」(1971年)
Olga Boznańska(オルガ・ボズナンスカ)「菊の花を持つ少女」(1971年)
オルガ・ボズナンスカは、ポーランドのポスト印象派の女性画家です。
この「菊の花を持つ少女」は彼女の代表作の一つで、クラクフ国立美術館に収蔵されています。
菊の花を持ったシンプルなブルーグレーのワンピースを着た少女が、こちらをまっすぐに見ています。
日本では仏花のイメージがある菊ですが、ポーランドではお墓に飾られることもあるものの、普通にプレゼント用の花束にも使われるようです。日本の菊よりも少し大ぶりの華やかな白菊ですね。
全体的にやわらかな色調なのに、少女の表情はやや不安げで、影も不思議な形をしています。情緒不安定な少女の精神状態をあらわしているのかもしれません。
この切手と、以下紹介する絵画の切手は同シリーズで、テーマは「ポーランド絵画に描かれた女性」。1971年に発行されたものです。
テキスト:K. Sliwka(おそらくデザイナー名)、PWPW(有価証券印刷所?)(以下同)
Witold Pruszkowski(ヴィトルド・プリュシュコフスキ)「若い女性の肖像(ステファニア・フェドロヴィチワの肖像?)」(1971年)
ヴィトルド・プリュシュコフスキは19世紀後半に活躍したポーランド人の画家で、肖像画や風景画のほか、童話や民話を題材にした絵を描きました。
象徴主義に影響を受けた画家ですが、この絵では印象派っぽいタッチです。
若い女性の肖像画です。ヘッドドレスが豪華でかわいいですね。大きな瞳といたずらっぽい口元が魅力的です。背景のストライプが全体を引き締めています。
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Tytus Czyżewski(タイタス・チゼフスキー)「本を読む女性」(1971年)
タイタス・チゼフスキーは20世紀前半に活躍した画家です。時期により画風が変わり、ポーランド表現主義の画家として活躍した後は、未来派、シュルレアリスムに傾倒しました。
やや伸びた人体のプロポーションは、画家が強く影響を受けたというエル・グレコを思わせます。
粗いタッチで描かれており、屋内での読書という落ち着いたシチュエーションなのにどこか不安な気持ちにさせられます。無表情だし・・・。
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Józef Pankiewicz(ユゼフ・パンキエヴィッチ)「赤いドレスの少女」(1971年)
ユゼフ・パンキエヴィッチはポーランド印象派の画家で、主にフランスとポーランドで活動しました。1927年にはレジオン・ドヌール勲章を受章しています。
知人の7歳の娘を描いたもので、切手ではトリミングされており実際は太もも位までが描かれた縦長の絵です。この絵は依頼主から大変好評を得て、いくつか同じものが描かれたそうなので、もしかしたらバストアップのバージョンが使われている可能性もあります。
輪郭線がぼかされたふわふわとしたブロンドの髪と柔らかそうな肌が印象的な絵です。唇の赤と、ドレスの赤が少女の儚い美しさを強調しています。
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Leon Chwistek(レオン・チュイステック)「ヌード」(1971年)
レオン・チュイステックは20世紀前半のポーランドの前衛画家で、文芸評論家、数学者、哲学者としても活動しました。
1939年に描かれたこの絵では、左前方に女性が横たわり、奥には海と建物群が広がっています。1925年に描かれた「レダと白鳥」や他の絵画でも同じ構図が見られますので、画家お気に入りの構図だったのかもしれません。
女性の美しい曲線のボディラインと、それとはアンバランスに素朴な顔立ちが印象的な絵です。
Józef Mehoffer(ユゼフ・メホフェル)「奇妙な庭」(?)(1971年)
ユゼフ・メホフェルは19世紀末から20世紀前半に活躍した人気画家で、本の装丁、装飾やステンドグラス作品でも知られています。
切手情報を調べると、「奇妙な庭」と出てきますが、ワルシャワ国立美術館所蔵の「奇妙な庭」では、青のドレスの女性(画家の妻)の奥に乳母がいますので、こちらは同じモチーフで描かれた別の作品かと思います。
「奇妙な庭」は果樹園を歩く画家の妻、子ども、乳母が描かれた作品で、子どもは裸でタチアオイ(?)を手にしています。真夏のおそらく正午で、濃い影のなか子どもの裸体が光輝くように描かれ、上部にはぎこちないほど大きくトンボが描かれています。夢でみる楽園のような、幻想的なものはなにも描かれていないのに現実感のない不思議な作品です。
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Zbigniew Pronaszko(ズビグニェフ・プロナシュコ)「白い帽子をかぶった画家の妻」(1971年)
ズビグニェフ・プロナシュコは20世紀前半のポーランドの画家で、彫刻家、舞台美術家などとしても活躍しました。
描かれているのはモディリアーニのようにデフォルメされたプロナシュコの妻です。ターコイスのピアスとネックレス、口紅の赤の配色が美しい作品です。
Wojciech Weiss(ヴォイチェフ・ヴァイス)「ヌード」(1971年)
ヴォイチェフ・ヴァイスは20世紀前半に活躍したポーランドの画家です。【切手】コレクション⑦ 東欧の絵画作品1でも「Manifest(マニフェスト)」を紹介しました。
「Manifest(マニフェスト)」とは全く異なる印象の絵です。がっしりとした肩で一瞬男性かなと思いますが、「ポーランド絵画に描かれた女性」というテーマの切手シリーズなので、おそらく女性のヌードなのでしょう。
足がやたらと大きく、全体的にずんぐりとしていて、色っぽさは皆無。その表情は見えず、ポーズもあいまって陰鬱な雰囲気です。
次回もひきつづき、絵画作品を題材にした切手(ピカソ、シャガール)をご紹介します。
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