私の切手コレクションのなかから、お気に入りのものを紹介します。
東欧の絵画作品を題材にした切手です。おそらくポーランドで購入したものです。
Piotr Michałowski(ピョートル・ミハウォフスキ)(1968年)
ピョートル・ミハウォフスキは、19世紀前半に活躍したポーランド・ロマン主義の画家です。
この絵のタイトルは「Rycerz na gniadym koniu(馬に乗った騎士)」。ミハウォフスキは肖像画や戦争画のほか、馬をモチーフにした作品を多く描き、国内外で評価されました。
Piotr Michałowskiで画像検索すると馬だらけ(笑)。馬好きすぎるだろう。とくに、この絵のように雄々しく前足をあげていたりと、動きのある絵を好んで描いていたようです。
正直なところ、この切手の絵はいまいちで、もっといい馬の絵がいっぱいあるんですが。
1948年にパブロ・ピカソがポーランドを訪れた際、ミハウォフスキの作品を見て「”Here, painter!”(見ろ、画家だ!)」と叫んだとか。ピカソお墨付きの馬画家でありました。
この切手と、以下紹介する絵画の切手は調べると1968年発行とあるんですが、私が所有しているものは異常に状態がよくて、とても1968年発行とは思えないんですね。再発行されたとか、そういう事情があったように思えてなりません。
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Leon Wyczółkowski(レオン・ヴィチュウコフスキ)(1968年)
ポーランド・リアリズムを代表する画家・レオン・ヴィチュウコフスキの作品です。
舌を嚙みそうな名前ですね。
この絵のタイトルは「Rybak(釣り人)」。他にも釣りを題材にした絵があるようですので、好きだったのかもしれません。この当時は、印象派の影響を強く受けていたようにみえます。
【ポストカード】コレクション⑬ 19世紀ロシア・東欧でもヴィチュウコフスキの「ある時まなざしに気づいた」という作品を紹介しています。
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Aleksander Gierymski(アレクサンデル・ギェリムスキ)(1968年)
アレクサンデル・ギェリムスキは19世紀後半に活躍したポーランド・リアリズム、印象派の画家です。
この絵のタイトルは「Żydówka z cytrynami(レモン売りのユダヤ人女性)」。貧しく、日々の生活に追われているような年配のユダヤ人女性が描かれています。かさついた手の描写や布地の描写がすばらしいと思います。
「Żydówka z pomarańczami(オレンジ売りのユダヤ人女性)」という同様の主題の作品も描かれています。そちらのほうがやや精緻で、表情はさらに空虚な感じになっています。
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Stanisław Wyspiański(スタニスワフ・ヴィスピャンスキ)(1968年)
スタニスワフ・ヴィスピャンスキは19世紀後半に活躍したポーランドの国民的画家、劇作家です。
かつては10000ズウォティ紙幣に肖像が使用されていました。結構イケメンです。
この絵のタイトルは「Portret Elizy Pareńskiej(エリザ・パレンスカの肖像)」。画家が親しく交流していたパレンスキ夫妻の10代の娘エリザを描いたものです。これ以外にも何枚かエリザの絵や、エリザの姉妹の絵を描いているようです。
愁いをおびた表情が印象的な作品です。背景にはゼラニウム(多分)が装飾的に描かれています。
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Wojciech Weiss(ヴォイチェフ・ヴァイス)(1968年)
ヴォイチェフ・ヴァイスは、上で紹介したレオン・ヴィチュウコフスキに師事し、表現主義や象徴派に影響を受けながら画風を変化させていきました。写真作品も残しています。
この絵のタイトルは「Manifest(マニフェスト)」。1950年にワルシャワで開催された第1回国立美術展で入賞した作品です。
一番左の労働者がマニフェストを読み上げています。右から2番目の労働者は赤い旗を掲げ、自分の意志を固めているように見えます。何かの決起集会のようです。
不思議な絵です。まず、構図が不思議。この切手では上部が少しトリミングされていますが、元の絵も労働者がキャンバスにミッチミチに入っており、緊迫感を演出しているのでしょうか。
また、過剰にドラマチックな光の当たり方です。人工的な照明が当たっているように見え、あたかも舞台や映画のワンシーンのようです。
次回もひきつづき、東欧の絵画作品を題材にした切手をご紹介します。
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