19世紀後半に活躍したフランスの画家ギュスターヴ・カイユボットのポストカードです。
ギュスターヴ・カイユボット《ピアノを弾く若い男》
ギュスターヴ・カイユボット《ピアノを弾く若い男》, 1876年, 油彩, アーティゾン美術館
こちらはアーティゾン美術館の所蔵品で、パリの自邸でピアノを弾く画家の下の弟マルシャルを描いたものです。
カイユボットの父は家業である軍服製造のほか裁判官も務め、裕福な家庭で3兄弟は育ちました。この画でも調度品などにおいてそれが感じ取れます。
ピアノ側面への鍵盤や指の映りこみや、陽光を孕んだカーテンなどが非常に精緻に描かれています。
ピアノを弾くマルシャルは口が開いちゃってますね。私も集中すると口が開いてくる癖があるのでなんだか笑ってしまいました。
マルシャルは兄と同じく芸術家肌で、写真家、作曲家として活躍しました。また、兄とともに切手蒐集を楽しみ、すばらしい切手コレクションを形成したそうです。現在、その一部は大英図書館に所蔵されています。
(参考資料:アーティゾン美術館サイトhttps://www.artizon.museum/collection/category/detail/159)
|
ギュスターヴ・カイユボット《ヨーロッパ橋》
ギュスターヴ・カイユボット《ヨーロッパ橋》, 1876年, 油彩, プティ・パレ美術館
2013年にブリヂストン美術館(現アーティゾン美術館)にて開催された「カイユボット―都市の印象派」で購入したポストカードです。
この《ヨーロッパ橋》は展覧会チラシのメインビジュアルにも選ばれた作品です。
舞台は、印象派の画家が集まる地域だったサン・ラザール駅に架かる橋。上流階級風の男女、労働者風の橋から河を眺める男性、リードなしフリーダム状態の犬などが描かれています。
真昼の明るい空気感と濃い影の取り合わせが美しい作品です。
カイユボットは日本美術(特に歌川広重)と、当時急速に普及してきた写真に興味を示していたらしく、この画で表現されている極端な遠近法もそこからきているのかもしれません。
|
ギュスターヴ・カイユボット《昼食》
ギュスターヴ・カイユボット《昼食》, 1876年, 油彩, 個人蔵
こちらも「カイユボット―都市の印象派」にて購入したポストカードです。
画家の自宅の昼食風景を描いたもので、奥で執事に給仕されているのが母、右側が上の弟ルネです。画家本人は、この画の手前に存在しているのでしょう。
黒檀のテーブルへのガラスの映り込み、ガラス食器などの質感が見事です。
窓から淡い陽光がさしているものの、全体としては沈んだ静かな印象になっています。食事シーンなのに、食べ物の存在が希薄なのも特徴的です。
この画が描かれたのは1876年です。1874年に実業家で裁判官だった父が世を去り、この画で右にいるルネも1876年に25歳の若さで急死しています(この画を描いた際にすでに亡くなっていたのか、直後に亡くなったのかはよくわかりませんでした)。そういった事情がこの画に影を落としているのかもしれません。
|
ギュスターヴ・カイユボット《床に鉋をかける人々(床削り)》
ギュスターヴ・カイユボット《床に鉋をかける人々(床削り)》, 1875年, 油彩, オルセー美術館
2013年に国立新美術館にて開催された「オルセー美術館 印象派の誕生―描くことの自由」で購入したポストカードです。
《床に鉋をかける人々(床削り)》はもっともよく知られているカイユボット作品で、1876年開催の第二回印象派展出品作です。
カイユボットのアトリエと思われるブルジョワ階級用のアパルトマンで、三人の労働者が上半身裸で淡々と床を削っています。
現代の日本の私たちにはピンときませんが、そういう仕事があるんですね。
当時、農村部の労働者の暮らしを描いた絵画はありましたが、都市部の労働者を描いたものは珍しかったそうです。それを描いたのが、ブルジョワ階級のカイユボットだったというのが面白い。
床板のラインが遠近法の強調になっており、全体の構図を引き締めています。
左上方では窓枠が床に映り込んでいます。カイユボットは映り込み大好きっ子ですね。
|
次回は点描のポストカードの紹介をしようと思います。
コメント