引き続きナビ派の画家たちの作品のポストカードをピックアップしてみました。
ポール・マテイ《室内の子どもと女性》
ポール・マテイ《室内の子どもと女性》, 1890年, 油彩, オルセー美術館
2020年に三菱一号館美術館にて開催された「画家が見たこども」で購入したポストカードです。
修復師の息子としてパリに生まれたポール・マテイは、肖像画家として人気を博し、また、エングレービング版画も手がけました。
この画の主役は、右側で壁にもたれかかっている子どもです。長じて美術史家となる画家の一人息子で、子ども特有の遠慮のない視線をこちらに投げつけています。
輪回しを守るようなポーズがかわいいですね。輪回しって、画の中でしか見たことがないのですが、現代の子どもも遊んだりするのかしら?
奥では、画家の妻と思われる人物がアイロンをかけています。アイロン済みの服が積みあがった様子をみると、間もなく終わりそうです。奥にいるのは、服装からおそらくメイドで、床を掃いているようです。
メイド(老人)、妻(成人)、息子(子ども)という人生の3つの区分を表しているという説もありますが、私はこの画にそこまで深いことを感じません。ただただ穏やかな家庭の一シーンをのぞき見しているようで、不思議な心地よさを覚えます。
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ポール・セリュジエ《にわか雨》
ポール・セリュジエ《にわか雨》, 1893年, 油彩, オルセー美術館
2017年に三菱一号館美術館にて開催された「オルセーのナビ派」で購入したポストカードです。
こちらは人気のある画で、会場ではiPhoneケースなども売られていた覚えがあります。
にわか雨がふるなか、質素な服装の女性が傘をさし道を急いでいます。地面は石畳ではないようで、女性は泥がはねるのを気にして裾を持ち上げています。構図は、当時画家が影響を受けていた浮世絵を思わせます。
生気のない顔、だらんとした手先。簡略化された色合い。地味なのに不思議な味わいがある画です。ガロ系の漫画のような。
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ポール・セリュジエ《二人のブルターニュ人と青い鳥》
ポール・セリュジエ《二人のブルターニュ人と青い鳥》, 1919年, 油彩, 大原美術館
引き続きポール・セリュジエ作品です。こちらは大原美術館の所蔵品です。
美しく長い尾羽をもつ青い鳥を愛でる二人。
右の女性は、髪をそって額をひろくみせているので舞台は14世紀ごろでしょうか。
昔の高貴な女性は外出時に手袋を欠かさなかったといいますが、右の手袋をはずして鳥に食べ物を与えているようです。優しく穏やかな空気が感じられます。
ポール・セリュジエはブルターニュにゆかりの深い画家で、芸術村ポン=タヴァンのほか、ユエルゴアなどで活動し、1927年モルレーにて亡くなりました。この画は、かの地でみたタピスリーなどがベースになっているのでしょうか。
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エドゥアール・ヴュイヤール《八角形の自画像》
エドゥアール・ヴュイヤール《八角形の自画像》, 1890年, 油彩, オルセー美術館
「オルセーのナビ派」にて購入したポストカードです。
こちらの画のマグネットなども売られていたと記憶しています。
オレンジ、ピンク、黄色という3色で大胆に簡略化されて描かれた自画像です。白い襟と青い服が画家の顔を引き立たせています。まるで子ども向けのピースの少ないジグソーパズルのようです。
西洋人特有の落ち窪んだ眼窩にたれこむ影、座った目つきが奇妙です。
この画家、ただものではない。そんな印象を十分に与えてくれる画です。
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モーリス・ドニ《朝食、フィリッポ・リッピ風に》
モーリス・ドニ《朝食、フィリッポ・リッピ風に》, 1898年, 油彩, 個人蔵
2011年に損保ジャパン東郷青児美術館(現SOMPO美術館)にて開催された「いのちの輝き、子どものいる風景 モーリス・ドニ」で購入したポストカードです。
ルネサンスの画家でありボッティチェリの師としても知られる、フィリッポ・リッピの聖母子像を下敷きにした作品です。
ベッドの上で、子にスープを飲ませる母。母子だけの親密な雰囲気が伝わってきます。
このスプーンだとでかすぎてこぼしちゃいそうだけど。
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次回は久しぶりに切手の紹介をしようと思います。
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