【展覧会チラシ】2011年下半期 私的ベスト10

展覧会チラシ・目録

2011年下半期の展覧会チラシ蒐集状況

2011年下半期に集めた展覧会チラシは205枚です。この時期ヒマだったみたいで我ながらひく量を集めています。以下は開催日付順で、番号は順位ではありません。

「中村とうようコレクション展 楽器とレコードを中心に」(武蔵野美術大学美術館)


音楽評論家・武蔵野美術大学客員研究員(当時)の中村とうよう氏の寄贈コレクション展です。小規模ながら、世界各国のレコードや珍しい楽器が展示されていました。会期中に中村とうよう氏は自死され大変驚きました。

オレンジと紺の2色で展示品の一部を紹介しています。楽器の奏でる音を煙のようなフキダシで表現しているのが面白いです。タイトルのにじみ感も渋い。紙もこだわっているようです。

「マイセン 西洋磁器の誕生」(町田市立博物館)


マイセン開窯300年を記念した展覧会です。

展示品の赤紫色に着目し、テーマカラーにしています。左上のティーサーヴィスの写真の左端が切れているのはちょっと残念に思いますが、上品に仕上がっています。

「実況中継EDO」(板橋区立美術館)


左側:パンフレット表面 右上から時計回りに 中島仰山「うみがめノ図(腹面)」、伊能忠敬「日本沿海輿地図(小図)」、池大雅「比叡山真景図」、馬場大助「遠西船上画譜」、沖一峨「江戸風景図額」
中央:パンフレット中面左
右側:パンフレット中面右

〈スケッチと真景図〉〈事件〉〈博物趣味〉の3章により、40件余りの作品から〈江戸期の写生〉に対する感覚を概観する展覧会です。

見開きのパンフレットで、表面下部が丸く切り抜かれています。そこから「実況中継EDO」のタイトルが見えるという仕掛けです。抑えた色調の図譜のなか、朱色が映えてとても美しく、高級感があります
コストがかかっていると思いますが、こういうアイディアは面白いです!

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「春日の風景 麗しき聖地のイメージ」(根津美術館)


写真:重要文化財 春日宮曼荼羅

名品「春日権現験記絵」をはじめとして、奈良・春日の景観を描いた中世~近世の絵画・工芸作品を展示する、根津美術館の開館70周年記念特別展です。

複数バージョンがあり、左側は早い時期に配布された速報チラシです。
速報チラシではタイトルの色を「春日宮曼荼羅」からひっぱってきているのが面白いです。その後のチラシでは「春日宮曼荼羅」の一部を用いてイメージを膨らませています。

「生誕125年 萩原朔太郎」(世田谷文学館)


詩人・萩原朔太郎の生誕125年記念展です。

横長のパンフレットで、開くと見返しがついており、関連イベント情報はそこにまとまっています。
黒を基調に、緑と青のテキストが入り、幻想的なイメージに仕上がっています。全体的に入っている満ち欠けする月の模様は「月に吠える」(うちのスキャナーの機能の限界で、上の写真では見えませんが)、表紙は「青猫」です。萩原朔太郎ファンにはたまらないデザインではないでしょうか。

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「生誕130年 松岡映丘-日本の雅-やまと絵復興のトップランナー」(練馬区立美術館)


写真:松岡映丘「千草の丘」

戦前に活躍し、やまと絵の再興に努めた松岡映丘の生誕130年回顧展です。

こちらは二つ折りになっており、広げると代表作「千草の丘」で描かれる美しい女性の全体像となります。ペラのチラシにして、縮小して全体を入れることもできたところを、大きく掲載してその魅力を伝えようとの意思が伝わってきます。

表面は「松岡映丘 MATSUOKA」という情報しかなく、文字の一部は女性のうしろに隠れています。このことからも、まずは絵の魅力を知ってもらいたい、気になる人はパンフをめくればよいという割り切りが感じられて好感がもてます。

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「トゥールーズ=ロートレック」(三菱一号館美術館)


写真左端 :トゥールーズ=ロートレック「コンフェッティ」
写真中央左:トゥールーズ=ロートレック「シンプソンのチェーン」
写真中央左:トゥールーズ=ロートレック「アリスティド・ブリュアン、彼のキャバレーにて」
写真右端 :トゥールーズ=ロートレック「エグランティーヌ嬢一座」

三菱一号館美術館所蔵のロートレック作品を紹介する展覧会です。

三菱一号館美術館のテーマカラーである赤を用いて、丸みのあるフォントでテキストを大きめに掲載してインパクトを出しています。くすんだピンクもしくは水色の背景とすることで、作品の味を引き出しています。

私は4種類集めましたが、もしかしたらもっと種類があるのかもしれません。

「感じる服 考える服:東京ファッションの現在形」(東京オペラシティアートギャラリー)


世界から注目されている日本のファッションデザイナー10組を紹介する展覧会です。

チラシ表面では、10組の代表作を掲載するのではなく、展覧会タイトルやデザイナー名をリズミカルにちらして興味をひくようにしています。
たしかに、デザイナーそれぞれの方向性が大きく異なるので、思い切ってこのようにしたほうがよいのでしょう。

「滝瀬源一 スクラッチボードに見る60・70年代の大衆文化」(練馬区立美術館)


写真:上 滝瀬源一 映画ポスター原画「けんか空手 極真拳」、下 挿絵原画 西村京太郎「ゼロ計画を阻止せよ 後編」

スクラッチボードを画材に用いた挿絵画家・滝瀬源一の仕事を紹介する展覧会です。

この青緑色がいいです!作品の持つ時代の熱のようなものが、不思議とこの色にマッチしています。

展覧会チラシとは別に、B3のポスターも配布され、こちらもすばらしい仕上がりです。

「石子順造的世界 美術発・マンガ経由・キッチュ行」(府中市美術館)


写真:つげ義春「ねじ式」

昭和40年代に、美術だけでなくマンガや演劇、芸能、ガラクタといった幅広い分野で活躍した評論家・石子順造の展覧会です。

70年代風のタイトルのデザインがよいです。赤色が、「ねじ式」の1ページ目によく映えています。
開くと見返しがついており、イントロダクションがそこに入っています。

次回は、2012年上半期の展覧会チラシ 私的ベスト10をご紹介します。

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