ベルギー象徴派を代表する画家の一人、フェルナン・クノップフのポストカードです。
フェルナン・クノップフ《アクレイジア、『妖精の女王』より》
フェルナン・クノップフ《アクレイジア、『妖精の女王』より》, 1892年, 油彩, 個人蔵
Bunkamuraザ・ミュージアムにて2005年に開催された「ベルギー象徴派展」で購入したポストカードです。
『妖精の女王』とは16世紀イングランドの詩人エドマンド・スペンサーの騎士物語。アクレイジア(アクラシア)という名は古代ギリシア語からきており「自制心のなさ」を意味します。
燃えるような赤毛が、薄いヴェールと対のようになっており、男を誘惑する妖婦としてのアクレイジアの存在感が際立っています。
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フェルナン・クノップフ《ブリトマート、『妖精の女王』より》
フェルナン・クノップフ《ブリトマート、『妖精の女王』より》, 1892年, 油彩, 個人蔵
同じく「ベルギー象徴派展」で購入したポストカードです。
こちらも『妖精の女王』の登場人物を描いたものです。
ブリトマートは男装の麗人で、ご覧の通り甲冑に身をつつんではいるものの髪は長く赤毛で、ポーズからもアクレイジアと対をなしていることがわかります。
女性的な魅力をたたえたアクレイジア、両性具有的な魅力をたたえたブリトマート。
実は三幅対の作品で、中央には《孤独》というパネルがあったそうですが完成せずに終わっているそうです。
(参考資料:ベルギー象徴派展図録P.92-93)
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フェルナン・クノップフ《蒼い翼》
フェルナン・クノップフ《蒼い翼》, 1894年, 油彩, 個人蔵
同じく「ベルギー象徴派展」で購入したポストカードです。
手前の彫像はギリシャ神話の眠りの神ヒュプノスです。クノップフは自宅にこの像を飾っていたそうです。
通常、有翼の青年の姿で表されるそうですが、頭から翼が生えているのか……。ケルビムとセラフィムみたいなノリですかね。
翼と布の青色がとても美しい作品です。青色はクノップフのお気に入りの色だったそうです。
ほとんど同じ構図で《白、黒、金》という作品もあります。連作なのか《蒼い翼》の習作が《白、黒、金》なのかは不明。わかる方がいらっしゃれば教えてください。
こちらは2009年に損保ジャパン東郷青児美術館(現SOMPO美術館)にて開催された「ベルギー近代絵画のあゆみ : ベルギー王立美術館コレクション」で購入したポストカードです。
フェルナン・クノップフ《白、黒、金》, 1901年, パステル, ベルギー王立美術館
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フェルナン・クノップフ《ジョルジュ・ローデンバックと共にー死都》
フェルナン・クノップフ《ジョルジュ・ローデンバックと共にー死都》, 1889年, パステル, 個人蔵
ローデンバックの小説『死都ブリュージュ』に着想を得た作品です。
かつて栄えていたが廃れてしまったブリュージュで、妻を失い悲観にくれる男が妻にうりふたつの女性を見つけるが……というお話。岩波文庫でさくっと読めます。
クノップフは幼少時代にブリュージュに住んでいたこともあり、思い入れのある土地だったようです。
パステルで描かれている青い瞳、王冠の青が印象的な作品です。
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フェルナン・クノップフ《捧げもの》
フェルナン・クノップフ《捧げもの》, 1891年, パステル, クレラー=ミュラー美術館
2017年にBunkamuraザ・ミュージアムで開催された「ベルギー奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで」で購入したポストカードです。
あごを上げてこちらを見つめる若い女性。髪の毛は背景にとけこんでおり神秘的な雰囲気を漂わせています。
特徴的なあごの形から、妹をモデルにしていることは明らかです。
クノップフはどの女性を描いても、だいたい妹に似てしまうところが面白い。
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フェルナン・クノップフ《ヴェネツィアの思い出》
フェルナン・クノップフ《ヴェネツィアの思い出》, 1901年, パステル, 姫路市立美術館
2009年にBunkamuraザ・ミュージアムで開催された「ベルギー幻想美術館 クノップフからデルヴォー、マグリットまで」で購入したポストカードです(Bunkamuraはベルギー関係の展覧会多いですね)。
パステルで淡く描かれた優美な女性。先ほどの《捧げもの》と同じくまなざしが印象的な作品です。豊かでふわふわとした金髪が背景と溶け込んでいく感じがお気に入り。
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次回はメアリー・カサットとヘレン・ハイドのポストカードの紹介をしようと思います。
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