【ポストカード】コレクション㉚ 少女その3

ポストカード

引き続き、少女が描かれた19世紀西洋絵画のポストカードをピックアップしてみました。

ウジェーヌ・カリエール《手紙》


ウジェーヌ・カリエール《手紙》, 1887年, 油彩, 個人蔵

2016年に東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館(現SOMPO美術館。この時の名称長すぎ)にて開催された「没後110年 カリエール」で購入したポストカードです。

ウジェーヌ・カリエールは、セピア色の淡い靄がかかったような描き方が特徴的なフランスの画家です。

二人の姉妹でしょうか、うれしそうに手紙を読んでいます。使われている色は限られているのに、やさしく親密な雰囲気が漂った画です。

レオン・フレデリック《ふたりのワロン地方の農家の子ども》


レオン・フレデリック《ふたりのワロン地方の農家の子ども》, 1888年, 油彩, アントワープ王立美術館

2012年に損保ジャパン東郷青児美術館(現SOMPO美術館)にて開催された「ジェームズ・アンソール-写実と幻想の系譜」で購入したポストカードです。

レオン・フレデリックはベルギー象徴主義に分類される画家で、幻想的ながらリアリティのある緻密な描写が特徴的です。
日本では大原美術館が所蔵する《有は死に帰す、されど神の愛は万有をして蘇らしめん》という大作が見られます。

この画では、幻想的な世界ではなく現実的な姉妹の姿を描いています。くたびれてところどころ汚れた服、幼少ながらすでに農作業の手伝いをしているからでしょうか、年の割に荒れた手指、ボロボロの壁に生活の厳しさや姉妹のたくましさを感じます。

レオン・フレデリック《三姉妹》


レオン・フレデリック《三姉妹》, 1896年, 油彩, 個人蔵

2005年にBunkamuraザ・ミュージアムにて開催された「ベルギー象徴派」で購入したポストカードです。

引き続きレオン・フレデリック作品です。こちらはおそろいの赤い服を着た三姉妹がじゃがいもかなんかの皮をむいているところです。
先ほどの《ふたりのワロン地方の農家の子ども》と同様に、豊かな生活とはいえない家の子どものようです。

淡々と皮をむく3人の構図が面白いですし、なんといってもこの赤い服の描写がすばらしい。当時の風俗がよくわかりませんが、こういった作業をする際に前掛けは使わないんでしょうか。絵画上の演出なのでしょうか。

ジョン・エヴァレット・ミレイ《聖テレジアの少女時代》


ジョン・エヴァレット・ミレイ《聖テレジアの少女時代》, 1893年, 油彩, 松岡美術館

松岡美術館にて購入したポストカードです。
タイトルの聖テレジアとは、16世紀の修道女で神秘家のアビラのテレサのこと。少女時代の彼女はたびたび家出をして殉教地を探し歩いたそうです。この画は弟の手をひいていますが、これも家出のシーンなのでしょうか?

幼いのに思いつめた表情の彼女が痛々しいですね。16世紀の服装や、石畳・石壁の表現など目を見張るものがあります。

この画はジョージ・エリオットが19世紀後半に発表した小説『ミドルマーチ』に取材した作品とのこと。『ミドルマーチ』未読なのですが、読めばこの画のいわんとすることがわかるのかもしれません。時間を見つけて読むことにします。

ジェームズ・マクニール・ホイッスラー《ライム・リジスの小さなバラ》


ジェームズ・マクニール・ホイッスラー《ライム・リジスの小さなバラ》 1895年, 油彩, ボストン美術館

2014年に横浜美術館にて開催された「ホイッスラー」で購入したポストカードです。

ライム・リジスとはイングランド南西部の海岸リゾート地で、この子は町長の娘とのこと。
やや不安そうな大きな瞳とかたく結んだ唇が印象的な作品で、暗い色調ですが一種のあたたかみを感じます。

グスタフ・クリムト《ヘレーネ・クリムトの肖像》


グスタフ・クリムト《ヘレーネ・クリムトの肖像》 1898年, 油彩, ベルン美術館

2019年に東京都美術館にて開催された「クリムト展 ウィーンと日本 1900」にて購入したポストカードです。

現代的なおかっぱ頭と白いフリルの洋服が印象的なこの少女はクリムトの姪とのことです。
妖艶な女性を多数描いたクリムトですが、清純な女の子も上手いですね。身内ならではのやさしいまなざしや細かい描写が感じ取れます。

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次回はナビ派のポストカードをご紹介します。

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