本日、東京は気持ちよく晴れていて空気が澄んでいたので、なんとなくセガンティーニ作品のポストカードを選んでみました。
日本人はセガンティーニ大好きっ子だという話を聞いたことがあります。セガンティーニの故郷イタリアや第二の故郷スイスよりもファンが多いのかもしれません。
ジョヴァンニ・セガンティーニ《羊たちへの祝福》
ジョヴァンニ・セガンティーニ《羊たちへの祝福》, 油彩, 1884年頃,セガンティーニ美術館
2011年に損保ジャパン東郷青児美術館(現SOMPO美術館)にて開催された「アルプスの画家 セガンティーニ−光と山−」にて購入したポストカードです。
時刻は夕方でしょうか。人と羊は逆光でトーンが抑えられ、厳かな雰囲気です。
セガンティーニは1881年、23歳ごろの時にスイス国境に近いブリアンツァ地方のコモ湖畔の村へ移住しました。この絵は、当地の宗教儀礼の一場面を描いているとのことです。
ジョヴァンニ・セガンティーニ《湖を渡るアヴェ・マリア》
ジョヴァンニ・セガンティーニ《湖を渡るアヴェ・マリア》, 油彩, 1886年, セガンティーニ美術館
同じく「アルプスの画家 セガンティーニ−光と山−」にて購入したポストカードです。
羊飼いの一家と羊の群れが、湖を小舟で移動する様子が描かれています。
タイトルの”アヴェ・マリア”とは、教会の鐘楼がアヴェ・マリアを奏でる時間帯を指しているのでしょうか。そうだとすると時刻は夕方5時から6時くらいだと思われます。
太陽は水平線に沈み、空はぼんやりと淡い残照に包まれています。先ほどの《羊たちへの祝福》と同様に羊飼いの家族と羊は逆光になっており、表情をうかがい知ることはできません。
一日の作業を終えて人も羊もおつかれモードのようです。毎日繰り返される静かなひと時が丁寧に描かれています。
空の半円を描く線と水面に移る半円を描く線があわさって真円をつくり、統一感のある構図です。
ジョヴァンニ・セガンティーニ《アルプスの真昼》
ジョヴァンニ・セガンティーニ《アルプスの真昼》, 油彩, 1891年,セガンティーニ美術館
Bunkamuraザ・ミュージアムにて2006年に開催された「スイス・スピリッツ-山に魅せられた画家たち」にて購入したポストカードです。
アルプスの高原を、セガンティーニ独自の色彩分割技法(色を混ぜずに線上に並べる技法)で描いています。
なんという澄んだ空気!この画が嫌いな方はそうはいないんじゃないでしょうか。
モデルは、セガンティーニ家で子守をしていたバーバ・ウーフェルという女性で、ほかにも多くのセガンティーニ作品に登場しています。
同名の大原美術館所蔵作品と合わせてご覧いただくとよいと思います。
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ジョヴァンニ・セガンティーニ《虚栄》
ジョヴァンニ・セガンティーニ《虚栄》, 油彩, 1897年, チューリヒ美術館
同じく「アルプスの画家 セガンティーニ−光と山−」にて購入したポストカードです。
池のそばで髪に触り一人思い悩んでいるような女性が描かれています。池には、人間を誘惑する蛇が見えます。
女性を誘惑に負ける弱い存在として描いているのか、蛇と同じく誘惑者として女性を描いているのか、単純に女性の美しさを讃えているのか、さまざまな見方ができると思います。
ジョヴァンニ・セガンティーニ《アルプス三部作(死)》
ジョヴァンニ・セガンティーニ《アルプス三部作(死)》, 油彩, 1896-1899年, セガンティーニ美術館
同じく「アルプスの画家 セガンティーニ−光と山−」にて購入したポストカードです。
この作品はアルプス三部作のうちの1作です。第1作『生』、第2作『自然』と合わせてご覧ください。
セガンティーニはアルプスの自然からインスピレーションを受け、自然のなかに死生観や母親への想いを投影したり、見出したりしていきました。
この画のタイトルは「死」ですが、描かれているのは夜明けの光景です。死ははじまりでもあるという画家の考えでしょうか。
セガンティーニは1899年、アルプス三部作の仕上げの最中に病を得て41年の生涯を終えました。この画も未完で、馬やそりは下書き状態になっています。
セガンティーニの色彩分割技法は、おそらく仕上げるのにドチャクソ時間がかかって根詰めるので、命縮めたのかもしれんね。
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次回も西洋画から選びたいと思います。
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