ヨーロッパのやきもののポストカードを集めました。
ジョルナイ、セーブル、ロイヤルウースター、マイセンの計5点です。
ジョルナイ《黄色のヤグルマギク文花器》
ジョルナイ《黄色のヤグルマギク文花器》, 1900年頃, ブダペスト国立工芸美術館
2021年にパナソニック汐留美術館にて開催された「ブダペスト国立工芸美術館名品展 ジャポニスムからアール・ヌーヴォーへ」で購入したポストカードです。
ジョルナイ陶磁器製造所はハンガリー南部の古都ペーチを拠点として1853年に開窯されました。ジョルナイの特徴は虹色に輝くエオシン彩を用いた、鮮やかで細密な装飾表現です。
ハンガリー三大陶磁器の一つと位置付けられています(ヘレンド、ホーロハーザ、ジョルナイ)。
日本や中国の装飾表現に影響を受けたと思われるこの花器。麻の葉文様を彷彿とさせるシャープで美しいデザインです。機械のように正確にモチーフを反復していますが、すべて手作業で絵付けされています。
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セーブル《草花文ポプリポット》
セーブル《草花文ポプリポット》, 18世紀, 高砂コレクション
2020年から2021年にかけて、パナソニック汐留美術館ほか各地を巡回した「香りの器 高砂コレクション」にて購入したポストカードです。
日本最大の香料メーカーである高砂香料工業のコレクションから、「香り」にまつわる工芸品を展示する展覧会で、【展覧会チラシ】2021年上半期 私的ベスト10でも紹介しています。
セーブルの前身はパリ市外のヴァンセンヌ城にあった乗馬学校(!)内の工房。1753年にパリとヴェルサイユのほぼ中間にあるセーブルへ移り、1759年にフランス王立セーブル製陶所となりました。その発展には、時の国王ルイ15世の公妾ポンパドゥール侯爵夫人の助力があったといわれています。
こちらはポプリを収納するポットです。形も可憐ですが、この色合い!うっとりしてしまいます。
杓などを使ってポプリを取り出すのかな?口が小さくて取り出しにくく、実用性は低そうですが。
(参考資料:前田正明「西洋やきものの世界 誕生から現代まで」p.214-217)
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ロイヤルウースター《吉祥文カップ&ソーサー》
ロイヤルウースター《吉祥文カップ&ソーサー》, 1880年代, 三菱一号館美術館(撮影:亀村俊二)
2011年に三菱一号館美術館にて開催された「もてなす悦び ― ジャポニスムのうつわで愉しむお茶会」で購入したポストカードです。
ロイヤルウースター(ウースター)の創業は1751年。1760年代には菊と梅を特徴とする柿右衛門様式を製作し、1789年に時の国王ジョージ3世より、イギリスの陶磁器界初となるロイヤル・ウォラントを授与されました。1800年頃にはボーンチャイナの製造に成功。経営者の交代による社名変更や分社を経て1862年にロイヤルウースターに改称されました。2009年に工場は閉鎖となりましたが、ポートメリオン(英国のカジュアルなテーブルウェアメーカー)のもとで今も製造は続いています。
吉祥文様の青海波/鱗文様に、金で宝尽くしや亀甲、三つ巴などが描かれています。和洋の意匠が見事に融合した美しいカップ&ソーサ―です。
ポストカードのデザインとしてもすぐれています。余白が広くとられていて、右上には高級感のある銀の箔押しで展覧会名を記しています。
(参考資料:図録「デミタスカップの愉しみ」 p.142)
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ロイヤルウースター《金彩ジュール透かし彫りカップ&ソーサ―》
ロイヤルウースター《金彩ジュール透かし彫りカップ&ソーサ―》, 1880年頃, 村上和美コレクション
2021年に渋谷区立松濤美術館にて開催された「デミタスカップの愉しみ」で購入したポストカードです。
2000点以上のデミタスを所蔵する村上和美氏のコレクションから厳選した約380点を紹介するという展覧会で、見どころが多すぎて2時間近くはりついて鑑賞しました。最高すぎました……。展覧会第2弾が企画されることを期待します。
こちらもロイヤルウースターです。透かし彫りの名工ジョージ・オーウェンによるものとのこと。自身の技術を秘密にしていたオーウェンの死により製法の詳細はわからないそうです。
はっきりいって異常ですよ。こんなレースのような表現が、陶磁器でできるなんて。すべて手作業なのに、こんなに精緻に均一な形をつくれるなんて。
色合いも、もうすこしずれれば悪趣味となりそうなところをぎりぎりのバランスで華やかで美しくまとめています。
展覧会で現物をみてほれぼれしました。こんなに美しいものがお金で買えるのであれば、この世に生きるのも悪くないと思わせるものでした。
(参考資料:図録「デミタスカップの愉しみ」 p.130)
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マイセン《花鳥文カップ&ソーサ―》
マイセン《花鳥文カップ&ソーサ―》, 18世紀?, 大倉集古館
2010年に大倉集古館にて開催された「開窯300年 マイセン 西洋磁器の誕生」で購入したポストカードです。
マイセンは1710年に開窯し、ヨーロッパで最初の磁器を生み出しました。王様が錬金術師を幽閉して無理矢理つくらせたという誕生エピソードが結構面白いので、詳しくは「マイセン 幽閉」とかでググってみてください。特に初期、18世紀に名品が多いといわれています。
花鳥はよくあるモチーフですが、虫や蝶もちゃんと描かれているところが面白いです。
一応、食欲をそがないようにという配慮でしょうか、カップに接する普段は見えない場所に描かれています。
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次回はガラス工芸品のポストカードの紹介をしようと思います。
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