私の切手コレクションのなかから、お気に入りのものを紹介します。
いろいろな分野の偉人にまつわる切手です。おそらくイギリス、デンマークで購入したものです。
近代郵便制度の父&無線電信の開発者(1995年)
Guglielmo Giovanni Maria Marconi(グリエルモ・マルコーニ)
グリエルモ・マルコーニは無線電信を開発したイタリアの発明家、起業家。
母親はアイルランド人で、ウイスキー「ジェムソン」の創業者の曾孫とのこと。スーパーで手軽な価格で売ってるんでジェムソンはたまに飲みますが、こんなところでつながっているとは。
右下に記載された「1895年」は、1895年にマルコーニが地元ボローニャにて無線実験に成功したことを指しているようです。
背景の絵は、1912年のタイタニック号の沈没と、その際に使われた遭難信号S.O.S.を示しているのでしょう。
タイタニック号の無線局の無線通信士2人は、マルコーニの国際海洋通信会社の社員でした。タイタニック号の生存者が外洋客船カルパチア号に救助されたとき、生存者名簿を無線で最初に受信したのもアメリカ・マルコーニ社の社員だったといわれています。
タイタニック沈没の件を調査する法廷でマルコーニは、船舶電信の機能と緊急時の規定についての証拠を提出。一連の働きに、イギリスの郵政公社総裁は感謝の意を述べたそうです。
マルコーニが発明した無線電信がなかったら、犠牲者はもっと増えていたでしょう。
とはいえ、事故が発生した当日は、流氷群の情報が無線通知されていたのに、この季節にはよくある現象だと見過ごされてしまっていたそうですが・・・。
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Sir Rowland Hill(ローランド・ヒル)
ローランド・ヒルは、イギリスの近代郵便制度の基本概念を生み出し「近代郵便制度の父」と呼ばれています。
1837年に小冊子『郵便制度改革: その重要性と実用性』(”Post Office Reform: its Importance and Practicability”)を出版し、国内で0.5オンスの重さまでの手紙に対して1ペニーという均一の郵便料金率を要求するなど、英国郵便制度の根本的な改革を打ち出しました。
それまでのイギリス国内では一般郵便は非常に高額で、重量ではなく距離で料金が異なるため手続きが煩雑だったりと、いろいろな問題を抱えていたようです。
背景は、ご存じ1840年にイギリスにおいて発行された世界最初の切手「ペニー・ブラック」。
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デンマーク発行 さまざまな偉人の切手(1960年代~1980年代)
作家
Adam Oehlenschläger(アダム・エーレンスレーヤー)(1979年)
アダム・エーレンスレーヤーは「デンマーク黄金時代」といわれる、創作活動が盛んだった19世紀前半に活躍したデンマークの詩人です。1779年生まれなので、このあと紹介するアンデルセンより25歳ほど年長。
ドイツ・ロマン派の影響を受け、古代北欧に関する詩や劇を発表し「北欧の詩王」と呼ばれています。
調べてみましたが、現在日本ではエーレンスレーヤーの著書を一般の人が日本語で読むことはできないようです。
シルエットで人物があらわされているのが素敵ですね。アンデルセンと同様に大きすぎる鼻が特徴的です。小鳥がかわいい。
テキスト:Henry Heerup(おそらく画家・イラストレーター名)
Hans Christian Andersen(ハンス・クリスチャン・アンデルセン)(1976年)
ご存じ童話作家アンデルセンです。没後101周年を記念して?発行された切手のようです。
この切手、色合いといいフォントといい飾りといい、地味ですが素敵じゃないですか?四隅の飾りの部分は、アンデルセンが得意としていた切り絵を引用しているのでしょうか。
テキスト:識別不能、Arne Kühlmann(彫師名?)
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Johannes Vilhelm Jensen(ヨハネス・ヴィルヘルム・イェンセン)(1973年)
20世紀デンマークで最も偉大な作家と称されるヨハネス・ヴィルヘルム・イェンセンの切手です。
1944年にはノーベル文学賞を受賞。日本では岩波文庫から出ている『王の没落』が手に入りやすいようです。
眉間のシワがすごい。他の写真をみてもそうなので、表情のクセなんですね。
テキスト:Czeslaw Slania(彫師名?)
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Karen Blixen(カレン・ブリクセン)(1980年)
デンマークを代表する女性ゴシック小説家、カレン・ブリクセンの切手です。
『バベットの晩餐会』『アフリカの日々』(映画化にあたっては『愛と哀しみの果て』と改題)が映画化されていますので、日本でも知っている方が多いと思います。
余談ですが『アフリカの日々』は、『ライ麦畑でつかまえて』のホールデンが「読んだあと作者に電話をかけたくなる」と絶賛していた作品ですね。
背景はアフリカの風景でしょうか。ターバンがよく似合っています。眼下の窪に、幸せではなかった結婚生活の疲れがみえるような。
テキスト:Johan Alkjær(おそらく画家・イラストレーター名)、Arne Kühlmann(彫師名?)
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科学者
Niels Steensen(ニコラウス・ステノ/ニールス・ステンセン)(1969年)
ニコラウス・ステノは17世紀デンマーク生まれのカトリック教会司教。神学のほか、解剖学、地質学、鉱物学など幅広い分野で功績を収めました。
化石の研究から地層の生成を考察した『固体の中に自然に含まれている固体についての論文への序文』は地質学の先駆的な著書といわれています。「地層累重の法則」(下にいけばいくほど古い世代の地層になる)という、誰もが知る大原則を提唱したのはステノさんなんですね。
解剖学の分野で耳下腺の主導管(ステノン管)を発見しました。
後年の画家による油彩の肖像画では、神経質そうなイケメンにみえるステノさんですが、この切手では・・・いまいちなルックスになっています。
テキスト:Czeslaw Slania(彫師名?)
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Niels Henrik David Bohr(ニールス・ボーア)(1963年)
デンマークの理論物理学者、ニールス・ボーアの切手です。1962年に亡くなった翌年に発行されたもののようです。
ニールス・ボーア前期量子論の展開を指導し、量子力学の確立に貢献した「量子論の育ての親」といわれています。
私には背景に描かれている数式や図の意味するところはわかりません。
上の画像ではわかりにくいですが、眉毛の生え方がワイルド。若いころの写真を見るとそうでもないです。年を取るとどんどん眉毛が伸びていく方いますよね。
テキスト:Czeslaw Slania(彫師名?)
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Niels Ryberg Finsen(ニールス・フィンセン)(1960年)
ニールス・フィンセンはデンマーク・フェロー諸島の内科医、科学者。日光に当たることで、ある種の疱瘡や結核を治すという光線治療法などが評価され、1903年にデンマーク人で初めてノーベル賞を受賞しました。
フェロー諸島って、アイスランドとブリテン諸島の間にある島々ですね。すごく寒そうです。お父さんはフェロー諸島の知事だったそうです。
1960年の生誕100周年記念として発行された切手のようです。
背景の斜めの線は日光をあらわしているのでしょうか。ちょっとうつむいているのは、まぶしいのかな。
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作曲家
Carl August Nielsen(カール・ニールセン)(1965年)
カール・ニールセンはデンマークで最も有名な作曲家で、代表作は交響曲第4番『不滅(滅ぼし得ざるもの)』など。1960年代以降に再評価が高まりました。
生誕100周年を記念して1965年に発行された切手のようです。
繊細な版画ですが、ボディラインだけが太い輪郭線で描かれているのが印象的です。
テキスト:Czeslaw Slania(彫師名?)
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次回は、東欧の民芸品や特産品が描かれた切手をご紹介します。
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